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六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

きらきらひかる 24

最上さんの真っ赤になって驚いた表情が、そのまま顔色を変えていく。
「ほ、保津さん?今ついでみたいに言ってましたけど…わざわざ姿や名前を変えてまで隠していた重大な事なんじゃ」
「最上さんには知って欲しいんだ」
今なら、矛盾の答えが分かる。
俺は綻びを作り続けていたんだ
気配を、息を殺して、忘れてしまった何かに怯え、繋がる全てを忘れる事でもう一人の自分を切り捨てながら確かな世界に生きたいと願って
そんな俺に気付いてくれる誰かを、あやふやな世界から出してくれる誰かを探して
「誰よりも俺を知っていて欲しい」
そしてやっと出会えた君は
怒りながら確かな世界へと連れ出して
笑いながらそのままでいいとも言ってくれて
「どうしよう」
「え?」
「だって本当は敦賀さんって呼ぶべきなんでしょう?でもずっと保津さんって呼んでたからいきなりは変えれないです。あ、でも大学では保津さんと呼ばないと…じゃあ誰も居ない時は敦賀さん?あああ絶対、何時か何処かで失敗しちゃう!」
こうしてあやふやな世界さえも確かな物にしてしまう。
「…最上さんに出会えて良かった」
「へ?」
「好きになってくれて、ありがとう」
「あの、保津、るがっさん?」
「俺も君が好きだ」
「ひぇっ!?」
「心から愛してる」
「ややや止めて下さい!もう、こんな所で!」
どれだけ言葉を尽くしても足りない。
まだ伝え足りない。
「今日一緒に食事しよう…連絡するから待ってて」
「…今日はアルバイトで遅くなるって言ってたじゃないですか」
「出来るだけ早く終わらせるよ…少しでも一緒に居たいんだ」
繋いだ手の指を絡め持ち上げて、手の甲にキスをする。
もっとこの気持ちを伝える術がある筈…
何時もなら力で振り切って逃げそうな彼女が恥ずかしがり俯いて、ただされるがままになっていて、その露になった白く細いうなじから目が離せなくなる

……………駄目だ

良くない方向へ変わりかけた自分に首を振ると、その仕草に気付いた彼女が顔を上げた。
「疲れましたか?」
「…いや」
「そう言えば、ほ、づ、敦賀さん、寝てないんじゃ」
「………………………………………少し寝たから大丈夫」
「何ですかその間は!やっぱり寝て無いんでしょう!今日何時からですか!?」
「…8時」
「早いですね…今から直ぐ帰ってお布団に…って、まだ電車が動いてる時間じゃ…あ!私の部屋で休んでいって下さい!移動しない分寝れます!」
まだ離れたくない無いとは思う
でも今良くない自分を振り切ったばかりの俺には、彼女が名案とばかりに明るい表情で告げた言葉は強烈過ぎて目眩を起こしそうになった。
自分が何を言っているか分かっているのか?いや君は純粋な意味で言ったのは分かっているけど…こんな時間に男を部屋に入れて二人きりになるなんて、君は自分が女の子だと分かっているのか?俺は最上さんが思うような安全な男では無いんだ…と、自分も今気付いたばかりだけど…その前に君は俺の事本当に男として見て
「…………ははっ」
あの女の事も忘れて最上さんの事ばかり考えていた自分に気が付いて、笑いが止まらなくなる。
「保津さん?…じゃなくて、敦賀さん?」
そう、あの女が誰か、忘れた過去に何があったかなんて必要無い。
君と一緒に居る為に、自分は何をすべきか、どうすればいいのかを考える事が大切で必要な事なんだ。







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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/03/12(土) 11:58:21|
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