六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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Card of cups 12

玄関で蓮を迎えたキョーコが泣きそうな顔で蓮を見上げる。
「恭子さんと別れたんですか?」
「ただいま。何故知っているの?」
何時もの固い挨拶も忘れ聞いた言葉の返事に、キョーコの瞳に涙が浮かぶ。
「今トーク番組で、イタリアのモデルさんと付き合っていると恭子さんが言っていました。別れたのは私のせいですか?」
「違うよ。恭子が他の人を好きになったから…そう…相手は外国人モデルだったんだ」
「何時?もしかして、敦賀さんの様子がおかしかった日ですか?」
「ああ…うん、何時もの事だからと思っていたけど…やっぱり少しショックだったかな」
「何時もの事って」
「そう、何時もの事。原因は分かっているだろ?」
口をつぐんだキョーコの横を通り抜けリビングに入ると、トーク番組は未だ続いていて興奮気味の女性司会者の恋人についての質問に少し頬を染めながら嬉しそうに答えている。
あの時の、キョーコと同じ笑顔で。
「…やっぱり、ちゃんと見ていなかったのか」
「え?」
「俺にも向けていたかもしれないのに」
会えて嬉しいと、愛してると向ける笑顔を。
「覚えて無いんだ」
…こうやって、俺は大切な何かを取り零してしていくのか。
右手の暖かな感触に蓮が視線を向けると、 手を握り俯くキョーコの頬が涙に濡れている。
「何故泣く?」
「敦賀さんが泣かないから」
ぐしぐしと腕で涙を拭いたキョーコが顔を上げる。
「私、知ったんです。本当に不安な時や悲しい時、誰かが側に居てくれて、何も言わなくても味方になってくれるだけで凄く救われるって」
「…うん」
「だから、今だけ連れのふり、です」
「…連れの、ふり」
「はい」
「ありがとう…」
言葉にぎこちなくキョーコが返した笑顔は、やはり蓮が見たかった物ではなくて。
"恋してないから"
…もう記事についての噂は全く聞かず、きっともう人々の記憶から消えているだろう。キョーコが新しい場所で生活を始めるのに何の問題も無ければ、この部屋に居る理由は何処にも無い。
繋がりを持つ事は簡単だろう。連絡が来れば話をして都合が合う時は会えばいい。そう、今までの恋人のように…
"何時かはキョーコちゃんに好きな男が出来るって事"
そして彼女もあの笑顔を他の男に向けながら、俺に別れを告げるのか
手に力と入れるとびくりと一瞬震えたものの、恐る恐る握り返す小さな手の持ち主の笑顔を見たいと願うのは、不安に押し潰されそうな今だけではない。

そして、離したくないと思うのも、今だけでは…

「…してくれる?」
「はい?」
「連れの…恋人のふり」
「え?つ、敦賀さん?」
離れようとした手を逃がすまいと、更に力を入れる。 それは酷く身勝手で、我が儘な事だと分かっている。
でも今直ぐ、この手を離さない理由が欲しかった。
そして
"自分の気持ちが分かるまで"
そう、この気持ちが何処から来るのか分かるまで。
だから、"恋人のふり"







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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/01/27(水) 17:45:25|
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