六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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フェアリーテイル 8

事務所に寄るいう社とビルの前で別れ、マンションへ帰る為に向かった駐車場で外灯の光が届かない場所に佇む人影に驚いて蓮は声を上げた。
「最上さん!?」
「あ、敦賀さんお疲れ様です!」
「こんな所で何を…まさか、ずっとここに?」
主任に結果を報告しに行くと言うキョーコをスタジオで見送ったは何時間も前。
「連絡を入れたら契約書類の関係もあるから明日でいいと言われたので…やはり今日顔を出すべきでしたか?」
「そうじゃない!関係者以外立ち入らないと言っても夜に女の子が一人で、しかも灯りの届かない場所に居たら危ないだろう!」
「す、すみませんっ!」
蓮の剣幕にぺこぺこ頭を下げ続けるキョーコの手が何かを握っていて、まさかと眉間の皺を深くする。
「こんな暗い場所に何時間もいた理由は?」
「…魔法の力を少しでも弱めようとコーンをお月さまの光に当てていました…なるべく人工の光が入らない方が効果あるかな…と、考えた結果…この場所に」
"光りの質で色が変わるから、そこに魔法を解くヒントがあるような気がするんです"
手招きされて屈めた自分の耳許に顔を寄せ、口に手を添え真剣な表情で小声で告げるキョーコの姿を思い出し、緩んでしまいそうになった口許を大袈裟な溜め息を付いて引き締めた。
「…何かあったら今の仕事だけではなく、何もかもを失う事になるから気を付けないと…それに俺は危険な事をさせる為にコーンを渡したんじゃない」
「ごめんなさい…軽率でした」
「…後三十分」
「は?」
しょぼしょぼと俯いていたキョーコが不思議そうに顔を上げる。
「ただし俺も一緒にいて、俺が送るという条件付き」
「え、でも、ご迷惑じゃ」
「女の子が一人で帰る時間ではないし、俺は帰って寝るだけだから…早く魔法を解いてあげたいんだろう?」
彼女の言うコーンが彼だとは思っていない。コーンは飽くまでもキョーコが産み出した想像の産物で、彼のように意思を持ち語り掛ける存在ではないから。それでもつい重ねて甘くなってしまう自分に自嘲しながらの蓮の言葉にぱっと満面の笑みを浮かべたキョーコが月に向かい精一杯腕を伸ばし石をかざす。
「…なんだか夢みたいです」
「夢?」
「何時かはと思っていた名前のある役が貰えたのも、空の上の人だと思っていた敦賀さんの側で仕事出来るのも、 夢みたいです」
「急ピッチで撮り直しをするし、その何シーンかには俺も入っているからそんな事言ってられないよ?それに名前のある役を貰えただけで夢みたいなんて…もっと欲張りにならないと」
「欲張りに?」
「オスカーを狙うとか」
「な!敦賀さんは兎も角、私なんぞが、そんな畏れ多い夢…!」
大慌てに首と手を振ったキョーコが、微笑む蓮にその動きを止める。
「…見ても、いいんですか?」
「目指す物が無ければ先には進めない…だろう?」
自分はそうする事で罪悪感を消して来たけれど
「わ、私、本当は、大女優と言われる役者になりたいんです!賞は貰えなくても、ずっと観た人の記憶に、心に残るような、そんな役者になりたいんです!」
「君ならきっと出来るよ」
真っ直ぐに、信じる物を見て守り続けるその強さがあれば。

懐かしい、暖かな記憶と共に忘れていた気持ちが甦る。
風に揺れるカーテン
陽射しが柔らかく射し込む窓際
床には、光に色を変えて輝く石
『僕達、お父さんみないな俳優になれるかな?』
『うん、きっとなれる』

幼い頃、信じ続ける強さを持っていた自分が彼に向けた笑顔は、今のキョーコと同じだったに違いない。









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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/01/25(月) 12:34:09|
  2. フェアリーテイル
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