六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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きらきらひかる 10

仕事場の廊下、角を曲がって直ぐ目に入った玄関ロビーに立つ女に嫌悪感が沸き上がる。
気付かれないようそっと廊下を戻り、なるべく遠い非常口を選んで出た途端、吐いた長い息にずっと息を詰めていた事に気が付いた。
…誰だ?
"会いたくない"と思ったのは"会った事がある"からで。
何時、何処で?
思い出せる筈もなく、浮かぶのは悪いイメージばかり。
女がいたその向こう側で待ち人がいるからと歩き出した足が重い。
大丈夫、回り込めば見付からない。
それに今、俺は"俺"じゃない
気付く人なんて、誰も…
ふと脳裏に浮かんだ姿に携帯を取り出す。時間は日付を変える間際。迷った末に番号を呼び出しボタンを押した。
『はい、最上です』
「…夜遅く、ごめん」
『ああ!保津さんですか?非通知だから誰かと緊張しちゃいました!』
「ごめん、気付かなかった」
『あまり掛けないんじゃないですか?私に掛けてきてくれたのも初めてですし』
「そういえば、そうだね」
『メールの返事ですか?』
「…ごめん、まだ読んでない」
『もしかしてアルバイトの帰りですか?遅くまでお疲れ様です』
この行動は噂を広める為に付き合っている"だけ"の相手としての範囲を越えているから、怒るか、迷惑がられると思っていたのに。
『え~とですね。次は何時空いてますか?と、行きたい場所はないですか?というのがメールの内容です』
「俺の行きたい場所?」
『私の好きな場所に付き合わせてばかりいるのも、何だか申し訳なくて』
「それも嫌がらせの一種かと思っていたんだけど」
『そそ、そうですけど!こう、飴と鞭の使い分けと言うか!楽しい事がないと嫌な事が乗り越えられないじゃないですか!』
彼女がどんな表情で言っているか想像が付いて、つい笑ってしまう。
楽しい事がないと、か
目を向けると、ガラス張りの玄関越しにあの女がまだ立っているのが見える。
「…楽しいよ。イルカショーは面白かったし、公園で食べたお弁当は…凄く、美味しかった」
『へ?』
「遊ぶために出掛けた事ないんだ。だから何処に行っても楽しいし、嬉しい」
『…私一人で考えるには限度があるから、保津さんも考えて下さいよ』
「じゃあランドにでも行く?」
『そこ本当に保津さんが行きたい場所ですか?』
「でも、恋人と一緒に行くのに一番相応しい場所じゃない?」
そう、別れが決まっている"ふり"だけの関係でも
今、最上キョーコにとって俺は彼で
俺にとって最上キョーコはどう過ごしたかも覚えていない"女"ではなくどう過ごしたか話し合える"彼女"で
一緒にいて楽しいと、次の約束が嬉しいと、声を聞くだけで嫌な事も乗り越えられる、"恋人"。


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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2015/08/08(土) 09:55:41|
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