六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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何度も恋をする 2

車の窓ガラスをノックされて顔を上げた先には、あの彼女。
「変わった車が止まっているなとつい覗いちゃったんですけど、敦賀さんの車だったんですね」
「…君は」
探している時は影さえ見付からないのに、俺が困っている時には何故あっさり姿を現すんだろう。
越えたいと切に願う父親がした役。
溢れてしまう愛情を抑えなければいけない男の役。
人を本気で愛した事が無いお前には無理だと止められながらも引き受けた仕事はリテイクを繰り返し、とうとう役を降ろされるかの瀬戸際まで追い詰められていた。
「…どうしてここにいるの?」
「夕食の買い物をして家に帰る途中なんです。敦賀さんも今からお帰りですか?」
荷物を持ち上げて笑った彼女に思い出す。
朝目が覚めて居ないと分かった時の喪失感。
もう会えないのかと、諦めなければいけないのかと考えた時の失望感。
そして今、再び会えた彼女の笑顔に胸から溢れる喜びと温かさ…
「…これから、予定ある?」
「いえ?」
「じゃあ…今から君の時間と身体、もらえないかな…?」
彼女と居れば、何か掴める気がした。
「…っ!い、いいですけど、ちょ、ちょっと、待って下さいね!」
彼女がぐるんと後ろを向いて大きく深呼吸している間に車を降りて助手席のドアを開ける。
「どうぞ?」
「ありがとう、ございます…………改めて聞くと、心臓に悪い言葉だわ…」
助手席に乗った彼女の呟きに、ドアを閉めようとした手が止まった。
「…誰かに言われた事あるの?」
それは多分、男で
「え?あ、ええと…」
「恋人にでも言われた?そんな人が居るなら軽々しく他の男の誘いに乗っちゃいけないな」
「いえ!恋人…ではなく!外国の方だったので日本語が不自由だったんです!敦賀さんだって彼女の二人や三人みえるでしょ!?なのに私なんぞを誘っていいんですか!?」
内側からがっしりドアを掴んでいるらしい彼女が叫ぶ。
「言ってる事と行動が違う!君はいないにしても俺にいると思うなら何で誘いに乗るんだ!?」
「だから、その、そう!身内!ファミリー!私兄弟がいないので、こんなお兄さんがいたら嬉しいかなと勝手に近親感を抱いてまして、それ故の行動です!」
それって、男として見てないと言っているのと同じじゃないか?
「…二股三股を掛ける身内がいて嬉しいのか?」
「…嬉しくないです」
「安心してくれ。恋人なんて存在はいないし、いても同時に何人も愛せる程器用じゃない」
「…良かった」
心底安心したように言われ、軽い男に見られていたのにもショックを受ける。
…何故俺はその事にダメージを受けるんだろう?
「夕食の買い物なら、これから作るの?時間も遅いし俺もまだだから、何処か食べに行こうか?」
「ご迷惑でなければ敦賀さんのお宅で何か作らせて下さい。食材が無駄になっちゃいますので」
こんな時間に自分から男の部屋へ行くと言うなんて、本当に男に見られて無いのか。
「じゃあお願いしていい?」
「はい!」
…俺は、まだ片手で事足りる程しか会っていない、名前も知らない彼女に男として見られたいのか
「…名前」
「はい?」
「ごめん、覚えていないんだ…もう一度教えてくれる?」
「ああ、熱でかなり朦朧としていましたから…キョーコです。最上キョーコ」
「最上…キョーコ」
よく聞く名前。そして女の子の名前なんて、何度も口にしたのに
「キョーコ…?」
こんなに胸を締め付けられる事はなかった。
「……はい」
「キョーコ」
会った回数なんて関係ない。
呼ぶ度に彼女の持つ名前が、そしてこの名前を持つ彼女が凄く特別で大切な存在だと分かる。
この気持ちが、きっと"愛しい"。



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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2015/06/14(日) 19:11:29|
  2. 何度も恋をする
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