六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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べつのなにか

どうも最近、ラブミー部を勘違いしている人が多いとキョーコは脚立を運びながら考える。
確か人様の役に立って感謝して貰って愛して貰う事で一人前にするとかいう主旨の筈なのに、どう考えても"雑用係"と周りは見ているようでピンクのツナギを着れば待っていたとばかりに仕事の依頼が次から次へと舞い込んで来る。
その原因が愛想よく引き受けてしまう自分の迅速かつ確実な作業のせいだとはキョーコは気付いていない。
助かったよ、ありがとうと笑顔で言われてつい嬉しくなってえへへと照れ笑いしているうちに自分でも主旨を忘れてしまっていたが、最近のラブミー部活動の忙しさにやっと思い出した。
私、女優じゃなかったっけ?いや、部門的にはタレント?
果たして自分はどちらなのかと考えながら入った倉庫には社内イベントの為の資材が所狭しと置かれていた。
「…次はなにするのかな…」
何にしろ忙しい先輩俳優は絶対来ないだろうと、それでもついしてしまう妄想に頬を緩めながら脚立を置いて踵を返した時。
がつんと何かを蹴っ飛ばした。
「うん?」
確認する為落とした視線の端にぐらりと大きなベニヤ板が自分を目指して倒れてくるのが見えて、咄嗟に突っ張った腕より早く後ろからがっしりと支えてくれた長い腕の持ち主をキョーコは仰いだ。
「敦賀さん!?何故このような所に!」
「…それは俺が聞きたいよ」
困り顔の近さに自分が今、腕の中にいる形になっている事に気付いて慌てて顔をベニヤ板に向けると手を付いた。
「あの、ラブミー部の仕事で、使った脚立を仕舞いに」
「その仕事も大事だとは思うけど、怪我したら意味がないんじゃないかな?」
ふ、と笑う吐息が耳元を掠めて違う理由で泣きたくなる。
「敦賀さん!お仕事に!私に構わずお仕事に行って下さい~!」
「これ結構重いよ?最上さん一人じゃ無理だ」
力を入れるために踏み出しただろう、自分に一歩近づいた足にいたたまれなくなり支えるふりをしてベニヤ板に身体を付けた。
「ほら、タイミング合わせて元に戻そう。いい?いち、に、さん…!」
「…うひゃっ!」
ぐっと腕を折り曲げられた為に蓮の身体が体温を感じる距離まで近づいて、思わず出た声は状況が誤魔化してくれたらしい。
「大丈夫、かな?」
「そ、そのよう、です」
暫くそのままの状態で戻したベニヤ板を見ていた先輩俳優の腕が離れていくのが見えて、小さな溜め息をつき。
「さぁ敦賀さんお仕事へ」
気を抜いて振り仰いだ額が何故か更に近付いていた彼の顔下半分に当たりキョーコは一気にパニックに陥った。
「申し訳ございませ~~~ん!!」
土下座したくても身体が近すぎて出来ない。
「敦賀さんのご尊顔に、大切な商売道具に頭突きするなど同業者としても後輩としてもあるまじき行為!何とお詫び申したらよいか!かくなる上は煮て喰おうと焼いて喰おうとお好きに「していいの?」
「うぇ?」
無表情で唇を手で覆っていた先輩の目が、細められ。
「本当に、食べちゃって、いいの?」
ゆっくりと外された手がキョーコの顔直ぐ横のベニヤ板に触れる。
「美味しく頂いて、いい?」
よよよ、夜!夜の!何故ここで夜の!
「いやあのやっぱり!無理な事して体調を崩されると困「最上さんの料理」
「………………」
先輩の真似では無いけれど。無表情になったキョーコに微笑む。
「向こう一年間のお弁当と夕食で許してあげる」
「い、一年で許して頂けるんですか?」
「やっぱり俺が許すまで」
「五年でも十年でも、一生でも敦賀さんに許して頂けるなら!」
「…朝食も」
「敦賀さんがお望みならば!」
蓮がジャケットの内ポケットからカードキーを出しツナギのポケットに指先で押し入れた。
「じゃあ、今日の夜から。逃げちゃ駄目だよ?それがないと俺、部屋に入れないから」
「いやあのスペアをお預かりできれば」
「昼も夜も、ずっと最上さんが俺の食事を作ってくれるなら俺が持たなくても問題無いよね?まさか夜中に女の子が自転車で一人で帰るの?俺注意したよね?朝もならもうそのまま居るのが一番合理的じゃないかな?ああ、だったら着替えも置いといた方が、いっそ俺の部屋に住んだ方が、ね?」
「ね?って敦賀さん、それには色々別の問題が」
「おっともう行かないと記録に黒星が」
「いってらっしゃいませ!」
立ち去る姿が嬉しそうに見えるのは自分を苛めて楽しいからに違いない。その証拠に
「体調を崩す程無理な事に関しては、今夜ゆっくり教えて貰うから」
なんて言葉を残していった。
ずるずると座り込み今夜からどうするべきか呆然としながらポケットに手を入れると、カードキー以外の物が手に当り引っ張り出す。
ずっと忘れていたラブミー部の、スタンプ手帳。
「…そっか」
これはラブミー部の仕事だから、喜んで行けばいい。先ずは先輩俳優が許してくれるまで。感謝はして貰えても愛しては貰えないけれど。

でも一人前になる前に。

自分は女優でもタレントでも無い、別の何かになってしまうんじゃないだろうか。









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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2014/10/08(水) 08:33:55|
  2. 短編小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<うわぁぁぁぁ!な拍手お礼 | ホーム | 拍手お礼と閉幕と。>>

コメント

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  1. 2014/10/08(水) 12:52:57 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

Re: あううう

コメントありがとう!その元気はお話作りに使って下さい(笑)
こちらこそ待ってる!
  1. 2014/10/18(土) 17:20:56 |
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  3. すながれけんじ #-
  4. [ 編集 ]

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