六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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獅子身中の虫

視線を感じて見渡せば、周りにいる事務所の人々は避けるように顔を背けそそくさと逃げていく。
朝から何処へ行ってもそんな調子で、蓮は何度も鏡で我が身をチェックしたが特別変わった所は無い。何より、自分より自分の変化に敏感なマネージャーからの指摘は無く何度聞いても「気のせいじゃ無いのか?」の一言で片付けている。
「…社さん」
流石に気のせいでは無いだろうと、そう声を掛けた時。
「つーるーがーさーーーーーん!!」
「キョ…最上さん、どうした!?」
この世の末と言わんばかりの表情で駆け寄った恋人に、思わず関係を隠している事を忘れて名前を口にしそうになり慌てて訂正した蓮に、キョーコは携帯を突き付けた。
「これ!どういう事ですか!?」
「え?」
「ご存知、無いんですか!?」
小さすぎる画面の中、映し出される某動画サイトには昨日見たばかりの風景。

氷水を被るか難病支援団体に寄付するか。
その運動はアイス・バケツ・チャレンジ (Ice Bucket Challenge) と言うらしい。
指名された人は24時間以内に実行し次に三名指名するというシステムから、一般人どころか著名人をも巻き込んで、世界中に爆発的に広がっている。
滝のような氷水の中、山伏姿のローリィ宝田が「お前達の愛を世間様に知らしめろ!」と指名した中に、何故かキョーコがいた。真面目で律儀なキョーコは、自分の行動が少しでもボランティア活動に関心を持って貰う切っ掛けになればと、進んで氷水を被る様子をカメラを構える社の横で蓮は苦い思いをしながら見守っていたのだが。
「その動画がどうした?」
「…二つ、あるんです」
「二つ?」
一つはキョーコだけが写り、難病だけでなく被災地や発展途上国などへの協力を求め、両方する事で次の指名はしないと盛大に氷水を被り頭を下げる所で終わっている。
もう一つはと映し出された画面には。
『本当にするの?』
冒頭に、聞き慣れた男の声が入っている。
『はい!大丈夫ですよ、本当に心配性ですね』
カメラとは違う方向を向いているキョーコに画面の端から大きな手が延びて、頬をいとおしげに撫でる。ほにゃりと笑った後、画面の反対側に写るバケツへと向かいお願いしますと頭を下げるキョーコの姿に重なって再び声が入った。
『全く、真面目過ぎるんだから…』
『でもそこが好きなんだろ?』
『そこも、ですよ…いくら夏とは言えやっぱり心配だな…風邪ひかないかな?』
『夏だし着替えれば大丈夫だろ。持って来たんだろ?』
『それは勿論。被り方が納得出来ないと何度も繰り返しそうだから多目に…っ!』
様子を見守っていただろう男がキョーコが氷水を被った所で息を詰める。
『皆様よろしくお願いします!』
ぺこりと頭を下げ一拍置いた後。
『キョーコ!早く着替えて!』
バスタオルを持った長身の男…敦賀蓮が駆け寄りくるりと彼女を包むとそのまま抱き締めた。
声は小さすぎて拾えていないが、キョーコの髪を整えながら語り掛ける蓮。キョーコの少し困った顔は、それでも嬉しさに溢れている。
『着替えて来ます』
そう声を掛けたのは蓮で、そのままキョーコの肩を抱いてフレームアウトしていく姿は二人の関係を如実に表していて…

チャレンジした場所は社長の別邸で、投稿時間は一緒。
「…社さんが知らない筈無いですよね?」
あの時の蓮の話相手は勿論社。動画サイトへのアップの手配をしたのも社。「ちゃんと確認したよ」と、二人に言ったのも社だ。
「すまん蓮。社長命令だったんだ…!」
「社長命令!?」
「そう、社長命令だ!」
その声と共に何処からともなく現れた、何故かちょんまげに岡っ引き姿のセバスチャンをはじめとする御付きの者達にざっと周りを囲まれる。
「なっ何ですかこれは!?」
「俺の言葉を実行してもらわないとな!」
これまたちょんまげに着流し姿のローリィが季節外れの桜吹雪と共に現れた。
「社長の言葉?チャレンジならしたじゃないですか!」
キョーコより早く、蓮が気づいた。
「まさか、"お前達の愛を世間様に知らしめろ"?」
「そうだ!愛の伝道師ローリィ宝田の部下がこそこそ愛を育んでいるなんて世間様は許してもこの桜吹雪が許さねぇ!」
ばばんと片袖を抜いた肩には桜吹雪の刺青。
「べ、別にこそこそしてる訳じゃ、私が敦賀さんに相応しい女優になってからと」
「ほう?それは何時だ?」
「うっ」
「最上くんの事だ。実力派女優だお嫁さんにしたいタレントNo.1だと言われていても、まだまだ自分は不釣り合いだと思っているのだろう?」
「ううっ!」
「何事も切っ掛けが大切だからな。これを期に二人揃って宣言しろ!」
「そんな、強引過ぎるでしょう!大体キョ…最上さんの意思を無視するような」
「ほほう、では蓮、お前は最上くんが納得できるまで待てると?」
「………!ま………待て、ま………」
「十年後でもか?最上くんの事だから二十年後も有り得ると思うが?」
「………………っ」
「ここで否定するなら社長としてそのように動かねばならん。同棲を止めさせるどころかお互いの部屋に行くのも、普段会うのも制限する。もしかしたらどちらかに海外進出して貰う事になるかもな。タイミングよくオファーも来ているし…さぁ選ぶがいい!」
「「職権乱用」だ!」です!」
「もうここまで来たら、素直に認めた方がイメージ的にもいいよ?」
全然助けになっていない社のアドバイスに蓮は天を仰ぎキョーコは両手で顔を覆う。
こんな形で交際宣言をする事になるなんて…!
大勢の岡っ引きに囲まれて力なく佇む姿に同情の視線を送る人々の上に、ローリィの愉しげなが響き渡る。
「会場には記者達が待っているぞ!さぁ、その愛高らかに知らしめて貰おうか!」








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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2014/08/25(月) 17:22:36|
  2. 短編小説
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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