六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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クロスワールド12

カランと、ドアベルが来客を告げる。
「いらっしゃ…」
残りの言葉は喉の奥に消えた。
立っているのは、全身黒づくめの大男。明らかに一般人ではない雰囲気が店内を凍らせた。
気怠そうに大股で歩き、店の一番目立たない席に腰を下ろしたその男は煙草に火をつける。
「き、キョーコちゃ…」
マスターの制止も聞かずお絞りを持って行く。
「ご注文は」
「…アンノックのストレート。チェイサーは要らない」
髪も、年も違うが纏う空気があの暗い幻と一緒で。
そう、もし生きていたら
「…クオン、君?」
男はキョーコに目もくれず煙草を吸い続ける。
再び鳴るドアベルに顔を上げると、キョーコの眉間にシワが寄った。

ショータロー…

「なんだよ。今日は客だぜ?」
「お客様成人と証明できる免許証か保険証の提示をお願いします」
持っているわけ無いのだ。保険証なんて見たこともないし、移動はいつも女の子の車だ。
「ハタチだ」
「ご掲示頂けない場合はお帰り願ってます」
「なんだよ!この店はハタチだっていってる客を追い返すのかよ!」
大きな声に店にいた客が一斉にこちらを見る。
「止めて下さい。他のお客様の御迷惑です」
「うるせーよ!なんだオマエ!一体何様のつもりだ!こっちは客なんだよ、客のいうとーりしてりゃこんな事になんねーんだよ!」
コイツは何時もこうだ。周りに迷惑かけて、自分の思い通りにならないのは周りが、私が悪いと責めて。
心が虚ろになって泣く事も出来ない。
「…おいお前」
「なんだようるせーな…」
振り返ったショータローが固まる。
「…俺は、静かに飲みたいんだ…分かるか?」
「なっ…だっ」
「…分かる、な?」
座ったままの黒ずくめの男が自分の手を見つめ、ゆっくりと握る。
ばきりと音が鳴った。



ぼんやりと、キョーコはクオンを見る。
相変わらず本を読んでいてパラパラとページをめくる音がする。
「私、邪魔?」
「ここにいて」
一度見せてもらった事があるがページは真っ白。しかしクオンには見えているらしい。時々、何か呟いて前のページを見直し考え込んでいる。
以前見せて貰った時はちゃんと書いてあったのに。
「何が書いてあるの?」
息抜きに顔を上げたクオンに訪ねる。
「…俺の過去の事」
「過去?」
「きっと神様が、始めから考え直せって言ってるんだろ」
辛そうに笑う。
「…」
「キョーコ、また何かあったのか?」
「何も…前も今も、何もない」
「嘘だ」
頬にクオンの手が添えられる。暖かい。
前抱き締められた時も暖かくて、それが何故か無性に寂しかった。
ゆっくり撫でられて、つと、親指が唇に触れる。
「…キョーコにとって、俺は、何?」
自分も考えていた事。
明らかに、出会った時とは違う感情が芽生えている。でもクオンは。
「私の部屋に現れた、年下の幽霊さんよ」
このまま時計が進んで、日が沈めば
「…俺にとって、キョーコは出来るならずっと側にいて、大切にしたい人だ」
もし私がこの想いを口にしたら。
クオンから逃げるように、一歩後ろに下がる。手が届かないように。
「クオン君は天国に、高く遠い所へ行く人よ」
ありのままの自分を受け入れて欲しい人は、居るのに。
自分と同じ所に居てはいけない人だった。
「この部屋に…私の側に、居ては駄目」

沈む日が最後の輝きと言わんばかりに、部屋を赤く染め上げている。
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  1. 2014/01/12(日) 09:45:54|
  2. クロスワールド (完)
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