六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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クロスワールド11

その日から蓮は時間の許す限りキョーコの元を訪れるようになった。
会うと言ってもほんの二言三言言葉を交わす事しか出来ない日が多いのだけれど。
その日も隙間を縫ってキョーコのアルバイトに向かっていた。
夢というあやふやな接点しか無い。今彼女を離すともう、側にはいられない。
焦燥感に捕らわれて足が早くなる。
「蓮。お前もしかしてあの子の事好きなのか?」
社に聞かれた事がある。
「…心配なんですよ」
「何が?」
首を傾げる社に蓮は続ける。
「彼女、いつも笑顔で人の事ばかりに一生懸命で。俺の話ばかり聞いて自分の事は何も話さない。聞こうとするとはぐらかしてしまうんです」
「…」
「何度会っても出会った最初の位置から近付こうとしない。助けてあげたくても言ってくれなければどうしようもないんです」
自分があの部屋にいるクオンだと伝えれば話は早いが現実味に欠け信じてもらえる可能性は低い。しかもこれは社長だけが知るトップシークレットで。夢の中で伝えようとしてもそれだけが上手く出来ないのだ。だから彼女が気付いてくれるのを待つしかない。今度の仕事は"敦賀蓮"の名前さえ伏せる上に時間も拘束される。只さえ時間が無い。
早く俺に気付いてくれ…!
「最上さん?」
犬が居ると嬉しそうに言っていた路上でキョーコは眉間に皺を寄せて立っていた。
「どうした?」
敦賀さん、と小さく呟いたキョーコが見ていた携帯をしまう。
「何でも、ないです」
「本当に?泣きそうな顔してるけど」
「大丈夫です」
それだけ言うときゅっと唇を結んで。
「ね、最上さん」
なるべく優しく、諭すように。
「最上さんは俺が辛い時助けてくれたんだよ?」
「助けた?」
「…そう、最上さんが俺を救ってくれたんだ。だから今度は俺が最上さんを助けたい」
「そんな…大した事してません」
不思議そうに見上げる瞳が涙でうるんでいた。
「してくれたよ。何度も、あの部屋で。そして君は俺の側にいると言ったんだ」
だから、気付いて。
「最上さんが辛い時には、俺が側にいるよ」



「キョーコは今日、何してた?」
そう聞くようになったクオンに、キョーコは外を気にするのは良い事だと思いながら話をする。
「いや、外の様子じゃなくキョーコに何があって、何をして、どう思ったのかきいてるんだが」
「私の事って言われても…」
脳裏に自分の話を上の空で聞いていたショータローが浮かぶ
ショータロー。
今日どこで聞いたのかアイツから留守番電話が入っていた。

絶対逃がさないからな

都合のいい女は離さないと言うことか。私は保険じゃないわ。
「何も、ないから」
近くに居ると思っていた人が聞いてくれなかった自分の話を、今更誰かにしても聞いてもらえるとは思えない。そう…例えクオンでも。
「本当に?会って嬉しかった人とか、楽しかった人とか」
「どうして人に会うことが前提なの?」
深く溜め息をついて、クオンは時計を指さす。
「あの時計が進んで日が沈んだ時、俺はどうなるか分からない。その後のキョーコが心配なんだ…だから、探して?俺に、よく似た人を。安心して君を任せられる人を…キョーコが、自分の全てを任せられる人を」

時間は6時になろうとしていた。
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  1. 2014/01/12(日) 08:35:54|
  2. クロスワールド (完)
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