六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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クロスワールド7

「ただいま」
「…おかえり」
チラリとキョーコの顔をみたクオンは泣いていない事に安心して、手元の本に視線を戻す。
「本なんてあったっけ?」
「気が付いたらあったんだ…あ、ここ、なんて読む?」
「ふくすい、です。覆水盆に返らず。零れた水は元に戻らない、一回失敗したら取り返しができないって意味です」
「俺の事か…」
「そうね」
「他に言葉はないのか?」
むっとするクオンに笑う。
「大丈夫。もう一度お水を入れて失敗しなければいいのよ」
「水が無かったら?」
「海でも川でもお水のある所まで行くの」
「遠いな」
「初めっから遠いとか考えてたらお水は手に入りません。必ずあるんだからあきらめちゃ駄目。自分には出来ると信じて進のみ、よ」
クオンが笑う。
「無敵だね。キョーコが言うと空も飛べそうだ」
「そう?」
変な関係だと思う。
深夜30分だけ現れる幽霊。真剣に話を聞いて、受け入れてくれて。消えてくれればと思っていたのに今はこの幽霊が言ってくれる"おかえり"が嬉しくて。笑顔が見たくて。会えるのを待っている自分がいる。
私は寂しさをクオン君で埋めようとしているのかしら…
そんな自分が、凄く醜いと思う。
「…あ」
「どうした?」
「時計が、動いている」
時間は、5時を指していた。


蓮の意識がゆっくりと浮上する。
…また見た。
あの時の夢。
日本に来たばかりで、もがいても上手く行かない現実に嫌になり手元にある金だけ持って逃げたアパート。前の住人が置いていったという壊れかけた時計とベッドだけの部屋。出る時、迷いも恐れも全てそこに捨てて出来た筈だったのに。
今、あの頃の夢を見るのはやり遂げると誓った今度の仕事に心のどこかで不安を感じているせいだろうか。
過去に戻ってしまうのではないかという恐怖。
あの役のような…感情を持たない、殺人鬼のような自分に。

水は必ずあるわ。どれだけ遠くても汲みにいかなくちゃ。

夢に紛れ込んだ、閉ざされた部屋の中に立つ少女。起きるとほとんど忘れてしまうから顔も朧気で話しの内容も途切れ途切れだ。
「幸せになって笑って死ぬのが夢とか言ってたな…今日は無理と思っても諦めるな、か」
ふと蓮の唇が緩む。
自分が思い付かないような事を色々言っているようだ。
起きた時心が軽くなっているから多分励ましてくれているんだろう。
「…こんなに頻繁に見るなんて、俺弱ってるな…」
認めたくはないが。

自分を信じて進むのみですよ

女の子、それも夢の中の見知らぬ子に励まされるとは…それでも。
「立ち止まるな、前へ進め、という事か」
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  1. 2013/12/22(日) 06:25:29|
  2. クロスワールド (完)
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