六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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幼なじみ 11

「…何探してるの?」
雨音に混じって、蓮ちゃんの優しい声。
「…何でもないです。ほっといて下さい」
「でも濡れてるよ?」
「…」
答えない私の腕を蓮ちゃんが掴む。
「キョーコちゃん」
「…」
「取り敢えず、入ろう。風邪引くから」
黙ったままの私を引っ張って階段を上がる。三階に着いて、少し迷った後、蓮ちゃんは部屋に入れてくれた。
「俺の服だけど、着替えて。濡れたままよりはマシだろ?」
鞄から服を差し出す。
部屋の中には冷蔵庫とベッド、数個の開いた様子が無いダンボールの箱。帰って来たにしては少なすぎる。
「ほら、本当に風邪ひくよ?」
渡された服が蓮ちゃんの体温で温かい。
「…ごめんなさい」
バカなんて、嫌いだなんて言ってごめんなさい。全部嘘。ずっとずっと、蓮ちゃんに側に居て欲しいの。泣きながら話す私に困ったように笑って。
「ずっと側に居られる方法、一つだけあるよ」
「…何?」
「キョーコちゃんが、俺のお嫁さんになればいい」
そうすれば、ずっと一緒だよ。驚いて目を見張る私に蓮ちゃんが続ける。
「俺はずっとキョーコちゃんが好きだった。小さなガキが狭い世界で身近な女の子を好きになっただけだと思ってた。だけど…いつも真面目で一生懸命で、俺を信じて笑ってくれるキョーコちゃんを忘れる事が出来なかった」
長い指が頬を撫でて、首筋から肩に流れて行く。
「二人きりになるのが怖かったんだ。いつか俺以外の男が隣に立つのかと思うと気が狂いそうな気持ちを、そのままキョーコちゃんにぶつけてしまいそうで」
蓮ちゃんの顔が近づいて唇に吐息がかかる距離で止まる。
「…安心してキョーコちゃん。幼なじみでは無くなった男は、もう直ぐここから消えるから」
唇は触れることなく反れて私の肩に顔を埋める。
「もう、帰った方がいい」
離れていく蓮ちゃんのシャツを慌てて掴む。ここで帰ったらきっともう蓮ちゃんに会えない。居てもいい理由を必死に探す。
「いつから?いつから、私の事…その…」
私の手をほどいて、玄関のドアを開ける。
「帰って。このままだとキョーコちゃんを傷つけてしまうから」
凄く辛そうな顔。それでも首を横にしか振れない私の唇に蓮ちゃんが噛みついた。

「分かっただろ…?もう、キョーコちゃんが知っている"蓮ちゃん"はいないんだ」

外に押し出された私の背中で、鍵がかかる音がした。


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  1. 2013/12/01(日) 18:39:16|
  2. 幼なじみ (完)
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