六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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フェアリーテイル 4

待ち合わせ場所に現れた明るい表情の担当俳優に社は笑い掛けた。
「なんか楽しい事でもあったか?」
「楽しい事?そうですね…いい事ならありましたよ。探し物が見付かりました」
「あのホテルのロケで無くしたって言っていたやつ!?何で事務所で見つかるんだ!?」
「従業員役で来ていた女の子が持っていました。逃げられて名前を聞きそびれたので社さん調べて下さい」
「返して貰えなかったのか?」
「悪い魔法使いには渡せないそうですよ?」
「は?」
何の事かと蓮を見ると、口に拳を当て笑いを堪えている。
「…確か二、三人来てた筈だから特徴教えてくれる?」
蓮の探し物、恐ろしく執着しているそれは、多分、蓮が肌身離さす持っていた"御守り"だろうと考える。
別に見せて貰った訳でも、そうだと言われた訳でもない。蓮が真剣な顔で手にとっている姿をたまに見る事があるから、それをそう表現するだけで。特殊な業界だからいくら今順風満帆な蓮でも不安になる事はあるだろうと、あまり気にしてなかったが、無くしたと分かった時の蓮の動揺と落ち込みのは激しさに驚いた。慌てて探しに行こうとする蓮を引き留め先ずは落とした場所の心当たりが無いかを考えさせて。
「控え室から出る時は、確かにジャケットの内ポケットに入っていた筈なんですが…」
その時いたスタッフに聞いてもホテルに問合せても皆首を横に振る。
蓮は空いている時間を全て"御守り"探しに費やしていて、時間が経つほど諦めるどころか焦り出して…仕事には影響ないし本人は一見普段通りだが、側にいる社は纏う空気で感じ取っていた。
一体何でそんなに?
固執する理由は分からないが、見つかった事で落ち着きを取り戻した蓮に胸を撫で下ろした。
「分かり次第連絡するから。色仕掛けで返して貰おうとか考えるなよ?」
「しませんよそんな事。大体色仕掛けって何ですか?俺はした事無いですよ?」
「やだねぇ無自覚な男は」
「俺がいつどんな時にそんな事したか教えて下さいよ。直しますから」
和やかな空気が久しぶりに二人の間に流れた。


面白い子だっな…
リビングテーブルの上の、社に渡されたメモを見て、蓮の口元が綻ぶ。 
最上キョーコ 17才。LME養成所属。
『魔法?』
一瞬全てを忘れたのだろう。きらきらと目を輝かせながら真剣に見ていた。
未だ魔法使いの存在を信じているとなるとかなりのメルヘン思考だ。もしかしたら妖精の存在も信じているかもしれない。
「…俺も人の事言えない、かな…」
『この石は魔法の石だ』
たくさんある中、コーンと彼女が呼んだ石を指差し彼が言う。
自分の兄弟だと信じていた、彼。
『魔法の石?』
『そう、願いが現実になる魔法の石』
『じゃあ大切にしてたら、僕たちお父さんみたいな俳優になれるかな?』
『うん、きっとなれる』
あの時の彼の笑顔も、一緒に過ごした幼い日々も、しっかりと記憶として残っている。
「…………」
イマジナリーコンパニオン。
空想の友達。
あまりにも頻繁に息子から語られる存在に不安を感じた両親は息子を病院に連れていき、その名を知った。
精神の不安定から来る想像上の友達。現実逃避。
確かに俳優として活動し始めた頃、上手くいかない現実に"トップスターの父とトップモデルの母の元に産まれたサラブレッド"という名の重圧。そこから来る嫉妬と失望の視線、虐げに確かにストレスを感じてはいたが、彼は蓮の側に産まれた時からいた。
全てを知った両親が先ず彼から引き離そうと秒刻みの仕事を抑え自分に尽くす姿に、確かに存在するのだと言い出せず近寄る彼を無視した。
『どうしたの?』
問に答えず、視線を反らして。
徐々に彼は、遠くから寂しげな目で見つめるだけになり。
バッググランドを捨て新しい土地で再出発を決めた日、彼は消えた。
蓮に罪悪感を残して。
迷いが出た時、何時も側にいて一緒に俳優になろうと笑った彼を思い出す。そして石を見て守れなかった彼の為に父のような…それ以上の俳優になろうと誓ったけれど。
「いい加減大人になれ、という事か」
確かにポケットに入れた筈の石が消えたのは、そういう意味かもしれない。
そして彼女は今、その存在を理解しながらも必要としているのかもしれない。








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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2014/12/14(日) 07:56:26|
  2. フェアリーテイル
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