六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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STING!13

広い広いと思っていた部屋は何もかも無くなったら更に広くなった。ここで一ヶ月と一週間過ごしたなんて信じられない位がらんとしている。
本当にいろいろあったな………

と く に こ の 一 週 間

隣に立つ敦賀さんを見るとやっぱり淋しそうな顔をしている。そうだよね、ずっとこの部屋で暮らしていたんだから。そしてここから世界へ行くんだわ…
一人で。
じわっと涙が出そうになって慌てて頭を振る。
駄目よ泣いちゃ。門出なんだから笑わないと。敦賀さんなら絶対世界のトップに立つ、その第一歩なんだから。
「私、帰ります」
もう一生会えないかもしれない大切な人を見送る勇気がなくて頭を下げる。先に自分から離れれば寂しさも悲しみも半分で済むかもしれない。
「身体に気を付けて、ご飯はちゃんと食べて下さいね」
そう言って背中を向けた。
「最上さん忘れ物」
忘れ物?最後にちゃんと確認したのに何を?
振り返ると差し出された敦賀さんの手には鍵。
「それ私のじゃないです」
「最上さんのだよ。新しい部屋の鍵。直ぐ住めるようになってるけど鍵が無いと入れないよ?」
新しい部屋?直ぐ住める?
「…私だるまやに帰るんじゃ…」
引っ越しは敦賀さんに任せきりだった。
「こちらでの仕事を減らした分俺の方が時間があるから任せて?その分俺を縛る事だけ考えてよ」
なんて事言われちゃって本当にそうしてた。お陰でこれ以上ないって位濃厚な時間を過ごす羽目になり得体のしれないモノがどういうモノで恋人同士のあれこれにはあれが伴うという事をしっかりがっつり教えて頂く事になりましたが。
「だるまやに帰ったら俺が日本に帰ってきた時二人きりで過ごす時間が減るじゃないか。だから人目も時間も気にする必要のない一人暮らしができるようにしておいたよ。あ、ベットは俺と最上さんが一緒に寝れるぎりぎりの大きさにしておいたから」
はぁああああ?
「も、日本に帰ってこない、んじゃ…」
「そんな事言ってない。所属はLME のままだから定期的に帰って来るよ?」
また私の思い込み!?
「…もしかして、分かってました?」
「何を?」
「私が勘違いしている事です!」
「うん。でも盛り上がっているようだから言わなかった。お陰で俺は最高に素晴らしい時間を過ごせたよ」
さらっと!さらっと言いましたよこの人!
「だるまやに帰っていいって言ったじゃないですか!」
「寮に入っても一人暮らししてもいいも言ったよ?それについての答えが無かったから俺が決めさせてもらった」
「私がすっかり忘れている事に勿論気付いてて、というか一人暮らしさせる気で」
「やだな、最上さんに気を使ったのに騙したような言い方して」
なに傷付いた顔してるんですか!
「…もう、いいです」
「何が?」
「復讐です!慰謝料もいらない全て返すから私の気持ちを返してー!」
「それは無理だよ。大体どうやって俺の貞操を返すの?」
「貞操は女の人が使う言葉です!」
「教えてくれてありがとう。じゃあ別の言い方で。最上さん俺に処じ「うーわー!それ以上言わないで!怖いから!」
「新しい部屋だって俺が契約者なんだよ?直筆のサインが無いと解約出来ないよね?俺の部屋だから家賃は払うし勿論そんな書類に名前を書く気はないから」
…もしかして。
もしかしなくても鎖でぐるぐるに縛られて首輪も長いリードも付けられたのは私の方だとやっと気が付いた。
呆然とする私に、にっこりと悪魔が笑う。
「往生際が悪いよ最上さん。いい加減諦めて現実を受け入れたら?」

私はこの人の側に一生いるのか。

まな板の鯉になりたくてもなれそうにもない自分に、一生どころか千年分の溜め息を付いた。



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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2014/04/26(土) 18:30:58|
  2. STING! (完)
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STING!12.5

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  1. 2014/04/25(金) 17:58:59|
  2. STING! (完)

STING!12

敦賀さんは本当に不思議な人だと思う。
相変わらず腕の中は温かくていい匂いがして安心できて、同時に悪い魔法を掛けて
おまけに時々得体のしれないモノまでやってくる。
私を抱いたままソファーに座り直した敦賀さんの手が宥めるように背中を撫でてくれる。お陰で落ち着く事ができたけど、今度はこの密着度に泣きたくなった。
「つ、敦賀さん、もう、大丈夫ですから、ちょっと、は、離れません、か?」
「嫌だ。やっと最上さんが腕の中に来てくれたのに後一週間も無いんだよ?その後次会えるのをずっと待ってなきゃいけないのに」
そうだ。追いかけるなんて私も世界を目指しますみたいな偉そうな事言っちゃったけど何時になるか、それこそ一生会えない可能性だってある。その方が確率高い。なのに待ってるなんて言って敦賀さん本当にいいのかな?
不安になって顔を上げると敦賀さんがちゅっと唇に…今何をした!?
顔がぼんと火を吹いたのが分かった。恥ずかしさのあまりぎゅっと目を瞑った私の頭と言わず顔中に唇を降らして最後の仕上げとばかりに唇に到達した。
ちょ、さっきのと全然違うのですが!?
二回目のキスにあの得体のしれないモノが背中と言わず腰まで支配する。今までに無い強さで来たのが怖いのと息苦しいので敦賀さんの肩を掴んで身体を引き離そうとしたけど上手く力が入らない。じゃあ顔ならと震える手に鞭打って移動させたけどこれも上手くいかず結局ぺったりと敦賀さんの頬に張り付いたままになってしまった。
敦賀さん気付いてー!
「…よし、って言って?」
「よ、"よし"?」
やっと離して貰えて酸欠で頭が回らない中聞かれた言葉の意味が分からず聞き返しただけなのに。
ぐるんと世界が回ってソファーに押し倒されてその見上げた視線の先には夜の帝王を御光臨あそばせた敦賀さんががががが!
「ご主人様の許可を頂いたので」
ほら俺意思の弱い犬だからそんな可愛い顔されたら長いお預けは無理なんだよねお風呂上がりの姿見せられてほんと何の拷問かと思ったよなんて事を言いながら首筋に噛み付いてきた。
「待って待って待って!」
恋人同士がそういう事をするのは知っているけど急展開!急展開すぎる!
「ああ、ここでは嫌なんだっけ」
「あれは言葉のアヤで!」
「じゃあここで」
「いえあの、だから!順番ってものが!」
得体のしれないモノが身体を撫でる敦賀さんの手から次々作られていく。
「順番って?ちゃんとお互いの気持ちは確認したよね?」
「そ、れはそうですが、こ、ころのじゅ、んびとい、うものが!」
「時間が無いんだよ?」
そ、それを言われちゃうと…
「俺を鎖で縛って首輪とリードで繋ぎ止めてくれるんだよね?」
思わず頷いた私ににっこり笑う。
「慰謝料も欲しいんだよね?その一部を今から払わせて貰うから」
自分から欲しいと言っといて受け取らないとはどういう了見だ!って言われている気がするのは私だけですか!?
どんどん敦賀さんのなすがまま状態に入りかけた時、ぴたりとその行動が止まった。
「…やっぱり…」
あ、思い直してくれた?




「最上さん初めてだからベットに行こう」
誰かこの人どうにかしてーーー!


テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2014/04/19(土) 18:07:55|
  2. STING! (完)
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STING!11

こういう事はきちんと宣言しなければいけない。決してこの人みたいにかるーく言ってはいけないのだ。だからソファーに座るその人の前に背筋を伸ばして正座した。
「復讐が決まりました」
「何でもさせて頂きますが御飯を沢山食べるのだけは許して下さい」
「ふざけないで下さい!まずはここに座って下さい!」
ああ君まだ怒ってた?ごめんね?みたいに頭を下げる敦賀さんに床を指差す。
「正座!」
胡座をかこうとした敦賀さんが座り直す。宣言される方にも礼儀というものがあります!
「で、何でしょう?」
「敦賀さんは本気で私の事…す、す、すき、なんですか?」
「最上さんがススキみたいだとは思ってないよ?」
「だからふざけないでー!こっちは必死なんだからぁー!」
怒りを通り越して泣きたくなってきた!
「勿論本気で愛しているよ?一緒に連れて行きたい位」
敦賀さんの顔が真剣になる。
「この一ヶ月の間に俺の事好きになってくれたらそうしようと思って努力したけど、そんな様子はなかったから諦めた」
「あっさり諦められる程度という事ですか?」
「まさか。必死だよ?何度全部話して一緒に行こうと言おうと思った事か。その度に無理矢理色々な理由を付けて我慢して。それこそ今でも無理矢理連れ去って衝動を押さえ込んでる」
「でも絶対、何があっても一人で行くんですよね?期限切れちゃったし変わらないですよね?男に二言は無いですよね?」
「何が言いたいの?」
想定内とはいえ怒った敦賀さんはやっぱり怖い。怖すぎる。びっちり背中に汗をかきながら、それでもなるべくにっこり笑う。
「私も敦賀さんの事が好きって事です」
「…心にもない事言って未練を残させるのが目的?だったら最悪の復讐だ」
「残念ながら本気です。ええもうまた恋なんかして馬鹿じゃない?おまけにこんな間際に気が付いてどうするの私!って思わず泣いちゃった位」
笑え笑え笑うのよキョーコ。今こそ仲居で鍛えた表情筋を使う時。
「そうしたら敦賀さんにあっさりさようなら楽しかったよなんて過去形で言ったのが弄ばれた事より悔しくなって、いえ弄ばれた事も相当悔しかったんですが、だったら向こうに行っても私以外見向き出来ないようにしてやる高校卒業してちゃんと自分作って敦賀さん追いかけて」
「よく分かったよ。もういいから」
身勝手な人の伸ばした手を払い退ける。
「まだ終わってません!話は最後まで聞かないと駄目なんです!」
「…うん」
「だからいつになるか分からない私が追いつくまで世界のてっぺんで待ってなきゃいけないようにするんです!一緒に行く事は出来ないからこの一週間で私の気持ちという鎖でがんじがらめに縛って首輪なんかもつけちゃって何処にいても繋がるように長いリードも付けていえ本当にはしませんが、とにかく!そんな状態の敦賀さんを私が追いつくまでハチ公の如く待たせちゃうのが復讐なんです!」
「うん」
「うんうんって本当に分かっているんですか!?慰謝料はお金じゃなくて敦賀さんの心とか未来とか一番大事な物をまるごと全部ひっくるめて欲しいって言っているんですよ!?」
「あげるよ、全部。心も身体も未来も、俺が持っている物全て最上さんにあげる」
またそんな事言って。
「本当に全部もらうまで諦めませんよ!?私は執念深いんです、それはもう敦賀さん追いかけて月の裏側から日本海溝の最深まで行けちゃうくらい!後悔しても遅いんですからね!?」
顔がべたべたして気持ち悪いと拭った手の甲が濡れていて、やっと自分が泣いているのに気が付いた。
「話は終わり?」
「終わり、です」
身を乗り出した敦賀さんの手が拭いきれなかった涙を拭く。そのまま私を胸に引き寄せて痛いくらい腕に力を入れて抱いてくれた。
「待っているよ。月の裏側で」

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  1. 2014/04/19(土) 05:42:50|
  2. STING! (完)
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STING!10

「減点」
残り物はラップされて冷蔵庫に、食器も綺麗に洗って拭かれてシンクの横に置いてある。朝起きてから棚にしまうのは私の癖で、初日に敦賀さんが直ぐしまおうとして止めた。
「何だかまだ湿っているような気がして」
そんな事もちゃんと覚えている人なのだ。ガス台だってぴかぴかだし拭いた布巾も洗って乾かしてある。減点対象はシンクの中に置かれたスプーン。
いつもより箸が進んでいたからきっと苦労して食べて空になったカップは捨ててもスプーンを洗う事までは頭が回らなかったんだろうと思う。頭が回らないのは私も一緒。
「おかしいんじゃない?あれだけ追いかけ回して相手の勘違いを利用して一ヶ月も拉致"軟禁"しておいて好きだ愛してるとか言いながら期限が来たからあっさり"さようなら"なんて」

最上さんが好きで愛してて

思う存分転がって悶絶したがる身体を縛り付ける為に椅子に座る。今大暴れして寝ているだろう敦賀さんが起きて来たら会わせる顔が無くって高層マンションの最上階にあるこの部屋のベランダから飛び降りる自信がある。
「…………………はぁぁ…………………」
それこそ十年分、もしかしたら五十年分のため息を吐く。私は何を怒っているんだろう?いや弄ばれた事に対してというのには間違いないんだけど。
帰っていいと、結婚しなくていいと言われたら良かったで済むんじゃない?
渡米して無名からチャレンジするなら頑張って下さいと言えばいいんじゃない?
何故私はその言葉が出なかったの?とにかく私の知らない所で敦賀さんが消える計画をされていたのが本当に悔しくて、いやそれこそ結婚する訳じゃないからそんな重大な事知らせる必要なんてないんだけど。
結婚。
そういえばだるだるで情けなくって色気の無い姿を見せてしまう事と命令されてするのが嫌なだけで"敦賀さんと結婚"自体は嫌だと思った事がない。それどころか一生側にいるつもりでいた。そして今私は敦賀さんの事は何でも知っているつもりだったのに、そうじゃなかった事に凄く悔しい思いをしている。
「……これはもしかして」
過去に一度だけ、一緒にいる未来が当たり前だった気持ちを持った事がある。相手の事を何でも知っているのが当然と思ってて、それが凄く嬉しかった事が。
たらりと汗をかきながら無視しまくってできれば燃やして灰をガンジス河辺りに流して存在自体を抹消したかったモノに目を向ける。
見ては駄目見ては駄目と頭の中でがんがん警報が鳴っているけど、このもやもやとか怒りとか悔しさとか理解不能な行動の答えがあるかもと。

そして今度はちゃぁんと、そこに書いてあった。


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  1. 2014/04/12(土) 10:58:59|
  2. STING! (完)
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