六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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フェアリーテイル 10


"あいつ"とはどういう関係?

わざわざ聞かなくても、女を名前で呼ぶ男とそれを当然と受け止める女の関係なんて想像が着く。そして、キョーコの様子から何があったかも。
…多分、"あいつ"はキョーコを痛い目に合わせた相手。しかし本人にその自覚が無くて…だから声を掛ける事も、触れる為に近付く事も出来たのだろう。
…それが何時の事かは分からないけれど
『…………そうか…』
先に背を向けて歩き出したキョーコには届かなかった呟き。安心したような声音に少し振り返り見たのは、何処か嬉しそうな表情。
…"あいつ"はまだ、彼女を心配している…
「蓮、キョーコちゃん。帰るから挨拶に来たって」
社の声に持っていたペットボトルからドアへと視線を移すと、控え室のドアからキョーコが顔を覗かせている。
「今日はありがとうございました。お先に失礼します」
「…もう遅い時間だし、一人で帰るなら此所で待ってて。俺も後一時間位で終わるから送っていくよ」
「お気遣いありがとうございます。でも今日はできるだけ早く帰りたいので」
「じゃあタクシーを使いなさい」
「え?でもまだ電車が動いている時間ですから」
「社さん、最上さん一人だと歩いて帰りかねないので乗るまで付いていて下さい」
「そんな事しません!早く帰りたいって言ったじゃないですか!」
「え~と…キョーコちゃん、歩いて帰るはともかく、蓮の言う事は間違って無いから…先輩の言うこととして聞いた方がいいんじゃないかな?」
関係無いって言ったのに!
そう顔に書いたキョーコが社と歩いて行くのを見送って、控え室のドアを閉める。
…俺には、関係の無い話だ。
17才の女の子なら恋もするし、その相手にどんな仕事をするか、したかを"あいつ"に話していても何もおかしくない。
別れた原因も、キョーコからしたら触れられたく無いだろうし自分も知ろうとは思わない。
なのに二人きりになると口にしそうで…
……だから、聞く事なんて何も
「キョーコちゃん今日"は"って言ってたけど…何かあったのか?」
戻った時、蓮が既に仕事に入っていた事もあり、ずっと黙っていた社が車に乗り二人きりになった途端"待ってました"とばかり口を開く。
「別に何も」
「無いわけ無いだろう。誰に対しても何時も"お疲れさま"で終わるお前が終わらなかったんだから」
「…彼女、思い込んだら周りが見えなくなるので」
「ああ…蓮に謝りたい一心で、場所も知らない社長室へ駆けてったな」
「テレビ局で会った時、考え事をしていてドアにぶつかりそうになるし」
「だから今日"は"なんだ」
「月…が綺麗だったからと、夜中に外で街灯の光も届かない暗闇に一人で立っていた事もありました」
「えっ!危ないなぁ!」
「女の子という自覚があまり無いみたいで…心配する位なら先手を打った方がいいかと」
「確かに…俺も気を付けておくよ」
「お願いします」
「まぁでも、お前の心配が全然届いて無い訳じゃないと思うよ?」
"秘密"を伏せた蓮の話に納得した社が笑う。
「外に出たら月が出てて。凄く嬉しそうに見た後、俺を見て蓮を思い出したらしくてはっとしてた。一人だったら本当に月を見ながら歩いて行きそうな感じだったな」
それは多分、心配を掛けてはいけないとかではなく
降り注ぐ月光に我を忘れて
魔法が早く解けそうだと言おうとして
隣にいるのが自分ではなく社だという事に気付いただけで
「…だといいんですが」
社に彼…コーンの話をしなかった
その事にふと心が軽くなって、気付く。
分かりきった話の先…知りたかった事。
"あいつに話をしたのか?"
駆け寄って、笑顔を向けて
時には真剣に、耳許に口を寄せて声を潜めて
眼を輝かせ空を見上げてお伽話を、二人だけの秘密の話を…"何時かきっと"と未来の夢を
…自分と彼のように、キョーコも"あいつ"と夢を語っただけ。
ただそれだけの事が何故、こんなに気になるのだろう?




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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/05/30(月) 21:25:39|
  2. フェアリーテイル
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フェアリーテイル 9

テレビ局の廊下を歩きながらキョーコは腕時計で時間を確認する。
…だいぶ早いけど…このままドラマの収録をしているスタジオに行こう。
明日の学校の授業が気になるが、勉強は帰ってからした方が落ち着いて出来る。
撮り直しは蓮の言葉通り急ピッチで進められていて眼が回る忙しさだが、成績が落ちれば何を言われるか分かっているだけに、疲れたからと帰って直ぐ横になるわけにはいかない 。
きっと今だけだから…頑張れば直ぐ終わるから
腕時計から視線を移したバックには小さながま口に入れたコーンが入っている。そう、今頑張って撮り直しを早く終わらせる事が出来たら、悪い魔法使いを探す時間を作る事も、魔法を解く方法を考える余裕も出来る…
「おい」
聞き覚えの有りすぎる声に一瞬止まりそうになった足を"私じゃない"と否定して早めたキョーコの後ろを、その声は着いてくる。
「メシ食いに行くぞ」
「どーせヒマなんだろう」
「おい」
「無視すんな」
「先輩だぞ?礼儀ってモンを知らねぇのか」
「ああ、声も出せねぇ卵も産めそうにねぇニワトリはツラだけじゃなく中身もバカなのか」
「呆けたふりをしているだけです!それに男の子だから卵は産まないわよ!」
"もう一つ仕事"である着ぐるみをバカにされ思わず振り返ったキョーコに声の主…もう幼なじみとして過ごした時間さえ捨てたい元恋人の不破尚…松太郎がにやりと笑う。
別れた時も、こんな馬鹿にした笑いをしてた。
『お前みたいなガキ過ぎる女、恋人だと思えねーよ』
「へー、そうか。だから中身と一緒で色気も何もねぇのか」
『ちったぁ大人になったかと期待してたのにガッカリだ』
『見掛けだけじゃなく頭ん中までガキのまんまで色気も何もねぇのに恋人どころか女としても見れる訳ねぇだろ』
「あのキャラクターで色気を求める方が間違っているわよ!あんた、わざわざ嫌味言いに来たの!?」
「ちげーよ。たまたまヒマになった短い貴重な時間をオマエの為に使ってやろうと声掛けたんだぞ?感謝しろよ」
「充分!しっかり!たっぷり暇に見えるわよ!いい!?もう、あんたの暇潰しに付き合うような関係では無いし、嫌味を言われる筋合いも無いの!金・輪・際!声を掛けないで!」
「ウルセェよ!あーだこーだ言ってねぇで黙って着いて来い!」
「人の話を聞いてる!?」
掴まれそうになって大きく腕を身体ごと退けた途端、庇うように前に立った人影に眼を見張った。
「敦賀さん!」
「揉めてたみたいだけど…大丈夫?彼は最上さんの知り合い?」
声は穏やかだが、松太郎を見る蓮の視線は鋭い。
「全然全く何の関係ない人です!」
「…そう…?」
「邪魔すんな!お前は関係ねぇだろ!おいキョーコ、話はまだ終わってないぞ!こっち来い!」
「敦賀さん行きましょう!人の話を聞かないあいつに付き合ってたら切りが無いです!」
芸能界のトップを行く敦賀蓮が何故新人とさえ言えないキョーコと親しげなんだという疑問よりも、その仲間入りを果たした自分を蓮が知らない事に苛立って声を荒げた松太郎に、蓮が眉を潜める。
「…そうだね。行こうか」
「人の話聞かねーのはどっちだ!待てって言ってるだろーが!」
「悪いけど、俺達は今から仕事があるんだ」
「仕事?は、どうせこいつは名前もセリフもねーちょろっと出るだけ端役だろ?ニンキハイユウのツルガサンと違って急いで行く事ねーだろ」
「失礼ね!名前もセリフもちゃんとあります!出番だって今までよりずっと多いわよ!」
食事なんて松太郎のデビュー当時から付いている、美人でスタイルが良くて大人な自慢の女性マネージャーと行けばいいのに!
その人と何時も、何時も比較されてきた。今だってきっと暇潰しに比較して子どもだと笑いの種にしたかっただけに違いない…
「いけない!」
バチンと思い切り両頬を叩いて自分を叱咤する。
子どもの夢物語だと笑われて、馬鹿にされて、呆れられて一人きりになっても自分を信じようと決めたじゃない!
バチバチ叩き続ける手を横からそっと触れられて、はっとして顔を上げると蓮の心配そうな視線とぶつかる。
「頬が赤くなってるよ?」
やだ、私ったら!
「す、すみません!お礼も言わず…ありがとうございました !」
「困っている女の子を助けるのは男として当然だろう?仲間なら尚更、ね」
蓮の言葉に、目の前が明るくなったように感じた。
仲間
そう、今は、私一人じゃない
「私今怒りに囚われて…清らかな心でないと魔法は解けないのに…悪い魔法使いが仕掛けた罠に落ちるところでした」
「彼…コーンは助けられないけど、最上さんの助けにはなれそうだ」
蓮がずらした身体の直ぐ後ろにあるドアを開けて、感情に任せて歩き続けて出入口のドアが目前に迫っていた事にキョーコはやっと気付いた。
「何処かに激突するのを防ぐ程度には、ね…どうぞ?」
「先輩にドアを開けさせるなんて!私ったら何て畏れ多い事を…!」
「これも男として当然の事だよ」
「っ…男とか女の子とか、関係無いでしょう!?」
思わず頬を膨らませたキョーコに「ああ」と蓮が笑う。
「じゃあ先輩も後輩も関係無いよね」
「いえ、それは関係あるかと」
「先輩の言うことは聞くべきだよ?」
「関係あるじゃないですか!」
怒ったふりをして蓮の前を通り過ぎる時、蓮の忍び笑いが聞こえて、赤く染まったままの頬を再び膨らませた。








テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/05/10(火) 20:26:57|
  2. フェアリーテイル
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フェアリーテイル 8

事務所に寄るいう社とビルの前で別れ、マンションへ帰る為に向かった駐車場で外灯の光が届かない場所に佇む人影に驚いて蓮は声を上げた。
「最上さん!?」
「あ、敦賀さんお疲れ様です!」
「こんな所で何を…まさか、ずっとここに?」
主任に結果を報告しに行くと言うキョーコをスタジオで見送ったは何時間も前。
「連絡を入れたら契約書類の関係もあるから明日でいいと言われたので…やはり今日顔を出すべきでしたか?」
「そうじゃない!関係者以外立ち入らないと言っても夜に女の子が一人で、しかも灯りの届かない場所に居たら危ないだろう!」
「す、すみませんっ!」
蓮の剣幕にぺこぺこ頭を下げ続けるキョーコの手が何かを握っていて、まさかと眉間の皺を深くする。
「こんな暗い場所に何時間もいた理由は?」
「…魔法の力を少しでも弱めようとコーンをお月さまの光に当てていました…なるべく人工の光が入らない方が効果あるかな…と、考えた結果…この場所に」
"光りの質で色が変わるから、そこに魔法を解くヒントがあるような気がするんです"
手招きされて屈めた自分の耳許に顔を寄せ、口に手を添え真剣な表情で小声で告げるキョーコの姿を思い出し、緩んでしまいそうになった口許を大袈裟な溜め息を付いて引き締めた。
「…何かあったら今の仕事だけではなく、何もかもを失う事になるから気を付けないと…それに俺は危険な事をさせる為にコーンを渡したんじゃない」
「ごめんなさい…軽率でした」
「…後三十分」
「は?」
しょぼしょぼと俯いていたキョーコが不思議そうに顔を上げる。
「ただし俺も一緒にいて、俺が送るという条件付き」
「え、でも、ご迷惑じゃ」
「女の子が一人で帰る時間ではないし、俺は帰って寝るだけだから…早く魔法を解いてあげたいんだろう?」
彼女の言うコーンが彼だとは思っていない。コーンは飽くまでもキョーコが産み出した想像の産物で、彼のように意思を持ち語り掛ける存在ではないから。それでもつい重ねて甘くなってしまう自分に自嘲しながらの蓮の言葉にぱっと満面の笑みを浮かべたキョーコが月に向かい精一杯腕を伸ばし石をかざす。
「…なんだか夢みたいです」
「夢?」
「何時かはと思っていた名前のある役が貰えたのも、空の上の人だと思っていた敦賀さんの側で仕事出来るのも、 夢みたいです」
「急ピッチで撮り直しをするし、その何シーンかには俺も入っているからそんな事言ってられないよ?それに名前のある役を貰えただけで夢みたいなんて…もっと欲張りにならないと」
「欲張りに?」
「オスカーを狙うとか」
「な!敦賀さんは兎も角、私なんぞが、そんな畏れ多い夢…!」
大慌てに首と手を振ったキョーコが、微笑む蓮にその動きを止める。
「…見ても、いいんですか?」
「目指す物が無ければ先には進めない…だろう?」
自分はそうする事で罪悪感を消して来たけれど
「わ、私、本当は、大女優と言われる役者になりたいんです!賞は貰えなくても、ずっと観た人の記憶に、心に残るような、そんな役者になりたいんです!」
「君ならきっと出来るよ」
真っ直ぐに、信じる物を見て守り続けるその強さがあれば。

懐かしい、暖かな記憶と共に忘れていた気持ちが甦る。
風に揺れるカーテン
陽射しが柔らかく射し込む窓際
床には、光に色を変えて輝く石
『僕達、お父さんみないな俳優になれるかな?』
『うん、きっとなれる』

幼い頃、信じ続ける強さを持っていた自分が彼に向けた笑顔は、今のキョーコと同じだったに違いない。









テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/01/25(月) 12:34:09|
  2. フェアリーテイル
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フェアリーテイル 7

スタジオがあるビルの玄関には社が待っていてキョーコを見つけると手を振り駆け寄った。
「今大丈夫だった?時間取られそうな仕事入ってる?」
「一件使って頂いてますが、そんなに時間は取られません…あの、私また何か…?」
養成所で指導を受けている最中に呼び出され、急いでいるからと説明も着替える隙もなく行き先だけ告げられタクシーに押し込まれた。
「詳しくは社さんに聞いて」
社さん?って敦賀さんのマネージャーの社さん?
最近蓮とは事務所で会った時に進まない魔法の解き方についての短い報告をし合うだけ。社はその時大抵席を外していて、コーンの事も知らないから会って話をしたは蓮よりも更に少ない。もしかして自分で気付かない間に迷惑を掛けてしまったのかと考えるが思い付か無いし、掛けたとしても仕事熱心で有名な先輩が指導を中断させてまで呼び出すとは思えない。
理由が分からず不安げに自分を見るキョーコに社が微笑む。
「実は蓮が撮影中のドラマで、今日いきなり降板しちゃった女優さんがいて」
特別重要ではないしセリフは少ないが立場上出番が多く名前もある役だと説明する。
「良く似てる娘を誰か知らないかって話になった時にキョーコちゃんを思い出したんだ。話をしたら直ぐ呼んでくれって事になって」
「…名前のある役の、仕事?私が?」
「今からするテストに合格したら、ね。 これ台本、付箋のあるページの台詞を覚えて」
キョーコを更衣室にいるスタッフに引き渡し、撮影が行われているスタジオへと向かう。
ちらりと自分を見た、監督と話をしている蓮に手を挙げて応えると安心したように話に戻っていく。
…もしかしたら、キョーコちゃんは凄い幸運を掴んだかもしれない。
『育ちの良いちょっと古風な感じの役が出来そうなよく似た女の子、誰か知らない?』
それは突然のアクシデントに困り果てた監督がつい口にした言葉。
右往左往する現場の邪魔になってはいけないと壁際に移動する蓮が耳にして、少し考えた後呟いた。
『…育ちの良さって、食事する時出ますよね…』
直ぐキョーコの姿が思い浮かんだ。
迷惑を掛けたと落ち込むキョーコの気持ちを解そうと食事に誘いマナーの良さを褒めたのは自分だし、その女優を見て似ていると感じたのはつい最近の事。
『新人でも良ければ、心当たりがあます』
社の言葉を聞いた蓮の驚いた様子から深く考えずに言ったのだと分かった。社にしても自社に所属する芸能人の一人を世に出すチャンスを作ったに過ぎない。
でも
このドラマは気難しい作家がやっと映像化を許したヒットセラー小説が原作で、その仕上がりが注目されていた。
監督も役者もそれを充分に知っていてかなり気を使っていたのに。
突然の降板。オーディションして撮り直す余裕もない進行状況。リタイヤした女優と偶然にも良く似た背格好のキョーコ。重要ではなくてもきちんと、いやそれ以上に役をこなせれば出番が多い分人の目に留まり更にチャンスを掴む事が出来る。
…この幸運はもしかして、蓮が譲った御守りのせい?
蓮が石を無くさなければ、キョーコが拾わなければ訪れなかった幸運。
でも、その幸運もチャンスも自分の力で掴み取らなければ意味が無い。
「最上さん」
スタジオに現れたキョーコの緊張を解そうと蓮が声を掛けるのを見て、自分もその力の助けになればと足を踏み出した。






テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2015/06/07(日) 21:06:37|
  2. フェアリーテイル
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フェアリーテイル 6

キョーコが頭を抱えるのは、上手くいかない魔法使い探しだけではなく。
「…私は…なんと奥がましい事をしてしまったんだろう」
仲間を見つけて興奮してたからって大先輩の、しかも年上の男性にいきなり電話番号を押し付けるなんて
「いやー!社会人として失格よー!」
頭を抱えたまま天井を仰ぎ絶叫した。
「キョーコ、ちゃん…?ど、どうしたの?大声出して」
気が付くと見覚えのある眼鏡の人が驚いた顔で立っている。
「お、おはようございます。ええと、敦賀さんの…」
「うん、マネジャーの社倖人。よろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げて。
ん?そう言えば、敦賀さんも。
「何故私の名前をご存知なんですか?」
やっと気付いた不自然を口にしたキョーコに、社が苦笑する。
「蓮が御守りを返して欲しいから、調べてくれって言われてね。名前と年令、所属だけ教えてもらったんだ」
「御守り?」
「いや、大事に持ってる何かを俺が勝手にそう言っているだけなんだけど…え?返して無いの?蓮に会ってない?」
それは、もしかしなくても。
「会いました…会って、譲って頂いたんです…」
「えええ!?あんなに必死に探していたのに!?」
やっぱりずっと大事にしてたんだ!そしてずっと探して…コーンを守り続ける為に…!
一気に青ざめたキョーコに慌てて社が言葉を続ける。
「いや、でも、譲ったって事は蓮にそれなりの理由があってキョーコちゃんに」
「…敦賀さんは、何処ですか?」
「蓮なら今社長と話を」
「社長室ですね!」
「ああ!キョーコちゃん!ちょっと!」
ダッシュで消えた角を呆然と見て、呟く。
「…社長室、そっちからは行けないんだけど」


事務所内の、やっとたどり着いた社長室の前に立つ険しい顔の大先輩の前に、キョーコは土下座した。
「申し訳ございません!嘘をついてお返ししないどころか守る役目を譲り受けるとは身の程知らずな「問題はそこじゃない」
ぴしゃりと言われた言葉に恐る恐る顔を上げた。
「で、では何をお怒りに」
「社さんに迷惑を掛けた事だ。俺と連絡が付くまで君を探し回っていたんだよ?自分の軽率な行動を悪いと思わないのか?」
「…ごめんなさい」
「社さんに言いなさい。今主任と話したいる筈だから、後で会えるだろう」
「はい…敦賀さんにもご迷惑おかけしてすみませんでした…」
しょぼくれるキョーコの手をとって立たせると、溜め息をつく。
「どうも君は暴走しぎみだね。もう少し落ち着いて行動しないと、その内痛い目に遭うよ?」
「………」
「もしかして、もう遭っているのか?」
「あああ遭ってなんかいません!ええもうこれっぽっちも!蚊に刺される以下の事もございません!」
遭っているのか。
「今回は俺がちゃんと報告しなかったのも原因だからね。携帯出して」
「え?」
「二度と社さんに迷惑をかけたくないなら俺の番号登録しなさい。君の事だからコーンが絡むとまた周りを巻き込んで暴走しかねない」
「そんな事はもう「絶対無いと言いきれるのか?」
無言で携帯を取り出すキョーコに少し笑い、番号を教える。
「そう言えば、この前の君の演技良かった良かったよ」
「この前の?」
「ロケの時のパイロットを見せてもらったんだ。笑顔が自然で動作も綺麗で良かった。君が一番ホテルの従業員という職業役をきちんと表現出来ていたよ」
「…今までの怒りは」
「謝ってくれただろ?まさか社さんには謝らないつもり?」
「地面が頭にめり込むくらい謝ります!」
「ならその話は終わり」
「終わり…」
呟いた途端、顔が赤くなるのが分かり思わず手で覆った。
「わわっ!すみません誉められ慣れてなくて!その、今更恥ずかしいというか…嬉しく…なって…」
ほにゃり、と笑顔になったキョーコにつられ蓮の表情も緩む。
「もうそろそろ社さんの用も終わる頃だから、いこうか」
「はい!で、敦賀さん。本当にコーンを私に渡して良かったんですか?」
「うん、彼には俺より君が必要みたいだから」
「私が?」
「妖精って信じる心が必要なんじゃなかった?」
「…!はい!そうです!」
「だから、裏切った俺より嘘を付いてまで守ろうとした最上さんが持っていた方がいい」
蓮の言葉はコーンの存在を信じられなかったと言っている。
でも、
「敦賀さんは裏切ってなんかいないですよ?」
「何故そう思う?」
「コーンの事大切にしてたって社さんが言ってました。今だって心配して、コーンの為に一番いい方法を考えているじゃないですか」
信じていなければ出来ない事。
「コーンはきっと、敦賀さんの気持ちを分かっています」
「…そうかな」
「そうですよ!絶対です!」
窓の外に目を移すと何時もより澄み渡る空が広がっていて足を止める。
「綺麗な空ですね。コーンがあの空を自由に飛べるように頑張らないと」
「そうだね」
隣に立ち空を見上げるキョーコに微笑む。

お伽噺も悪くない












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  1. 2015/03/24(火) 12:00:55|
  2. フェアリーテイル
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