六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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何度も恋をする 10

一瞬何処に居るのか分からなかった。
強い夏の日射し、青く生い茂る木々、目の前を流れる河のせせらぎ。
遠い記憶の中にある風景…
「…………京都?」
自分の声の高さに驚いて、口に寄せようとした手が小さい。

もしかして、俺は

人の気配に振り向くと、そこにはツインテールの小さな女の子。
目に涙を溜めたまま、驚いた表情が見るまに笑顔になり頬を染める。
『敦賀さん』
「あなた…妖精さん!?妖精さんね!?私はね、キョーコっていうの!あなたのお名前は?妖精さん、何て言うの?」
ああ…この子は
俺を知らないキョーコ
俺が知っているキョーコ
そして俺は、俺を知らないキョーコを初めて知る。
もしかしたら俺も、気付かないだけで何度も繰り返しているのかもしれない。
だから初めて会った時に見覚えがあって
君を無条件に受け入れて、驚く程性急に惹かれて、恋をして
「…はじめまして、キョーコちゃん」
君が俺の為に時間を繰り返すなら
俺も君との未来の為に何度でも時間を繰り返す。
この後どんな最悪な再会が待っていても
君がどれだけ俺を嫌いになっていても
きっと君は俺に恋をする
「俺の名前は」
何度も出会って
何度も恋をしよう
君の言う"神様"が、俺達の望む未来に変えるまで。



               終


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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2015/06/23(火) 11:51:10|
  2. 何度も恋をする
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何度も恋をする 9

映画の長い撮影期間がやっと終わり、飛行機から降りた時から俺は浮き足立っていた。
やっとキョーコに会える。
少しでも未来を変える為に携帯を持たないと言っていた彼女との連絡は、部屋の電話だけだった。しかも彼女からでないと上手く繋がらなくて。
俺としてはかなり我慢を強いられる仕事だった。
「正直お前があの役をやり切れるとは思ってなかったなぁ…」
吐いた紫煙を追っていた社長がちらりと俺を見てにやりと笑う。
「"彼女"のお陰か?」
「そうです。ご希望なら今直ぐにでも紹介しますが」
この手の話は素直に話をした方が早く終わる。
「子どもがいるとかいないとか」
「今はいませんが、いずれとは思ってます」
「素直過ぎると面白くねぇな」
ひらりと手を振られ退出した時には、早く帰る事ばかり考えてた。
何時も思い通りに彼女の元へと向かってくれる"足"は映画の役の為にマンションにあって。

タクシーを呼んで貰うより、掴まえた方が早いかも

そう思いながら事務所を出て歩き出して
「……………キョーコ!」
俺を迎えに来たのか、道路を挟んだ向こう側を歩いていた彼女が立ち止まり周りを見渡してから恥ずかしげに、そして嬉しそうに手を振る。
深夜と言っていい時間
車の通りも少ない
遠くの横断歩道を渡るよりも、今ここでとガードレールを跨いだ俺にキョーコが目を見張る。
「…………!敦賀さん!止めて!」
「キョーコ、危ないからそこで待ってて…」
ガードレールの隙間から道路に出ようとした彼女を制した時、まだ間があると思っていた車の後ろから車線を越え追い越しを掛けた車のライトが目の前に広がった






未来は

俺の
君の
何処からやり直せば
訪れるのだろう?




テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2015/06/23(火) 11:51:06|
  2. 何度も恋をする
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何度も恋をする 8

彼女が自分勝手で我が儘な女だとは思わないけれど、自分がかなり狡くて卑怯な男だとは思う。
「過去が変われば未来も変わるなら、事故に遭うタイミングも変わるって事か」
「…………敦賀さんにこの事を伝えたのは初めてですから、今度は大丈夫なんじゃ……いえ、絶対大丈夫です!」
「確定してないんだ?…じゃあ一ヶ月後かもしれないよね?」
枕に埋めた顔を少しずらしてキョーコを伺うと、服を着る手を止め真っ青になっている。
「一ヶ月後なんて…そんな」
「一緒にいる時間は少ないのに…帰っちゃうんだ?」
「だ、大丈夫だから、帰るんです!」
そんなつもりは更々無いけれど
「永遠の別れになるかもしれない…」
「…………!」
「この部屋でキョーコが待っていてくれるなら、他人を犠牲にしてでも帰ってくるんだけどな…」
「そんな事、出来る敦賀さんじゃないでしょ!?」
「ああ…なら、キョーコに何時会えるか考えて、注意力が散漫になって、一週間後、いや、明日にでも」
「止めて下さい!そんな事冗談でも言わないで!」
「本気だよ…だからここで待っていて」
泣きそうなキョーコの腰に腕を回し、露になっている肌に頬を擦り寄せる。
「…必ず帰って来てくれると約束してくれるなら」
「キョーコとの約束なら、どんな無茶をしてでも守ってみせるよ」
「…知ってます」
あやふやなキョーコの存在を、確かな物にする為に

俺ではない俺が手にする事が叶わなかった、キョーコも知らない未来を手に入れる為に

「お前、何か変わったな」
「そうですか?」
「元々そうだったけど、最近特に慎重になった。まぁ、今度の仕事を考えれば悪い事ではないけど」
助手席で不思議そうな顔をする社さんに笑う。
「俺一人の身体では無くなったので」
「……!?何その問題発言!子どもか!?子どもが出来たのか!?」
「俺、男ですよ?」
「そんな事分かりきってるよ!何時産まれるんだ!?男の子か!?女の子か!?相手は誰だ!?」
「……どちらでもいいですよ。生まれて来てくれるなら」
お帰りなさいとキョーコが笑って迎えてくれるその腕には、俺達の細胞から出来た、小さな命。

そんな未来が必ず来る。


テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2015/06/21(日) 14:43:45|
  2. 何度も恋をする
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何度も恋をする 7

彼女があまりにも真剣で馬鹿馬鹿しいと笑えなかった。それどころかこんな突拍子のない話を信じている自分がいる。
キョーコに対するこの根拠の無い信頼感は、一体何処から来るのだろう。
「…全部、お見通しって事か」
「そんな事無いですよ?過去の出来事が変われば少しずつ未来も変わりますから」
「例えば?」
「…こ、んなに早く、いきなり、あ、あんな風にとは思っていませんでした…」
「俺はキョーコに会う度にあんな風に抱くの?」
「話の重点はそこではありません!」
初めての娘に対する抱き方ではなかった事を思い出し、思わず苦笑した俺に頬を染め離れようとした彼女を抱き寄せて。
「受け入れて貰えて良かったよ。分からない未来を気にして拒否なんてされたら、それこそショックで寿命が縮んでしまう」
「もう、何時もそんな冗談ばかり…」
「本当だよ。きっと何ががあってもどんな些細な出会いでも…俺はキョーコを好きになる」
「…私を好きにならなければ、事故に遭わないかもしれませんよ?」
「好きにならないなんてきっと無理だ」
「…ごめんなさい。もしかしたら私に会わなければと思っているに、無理なんです。私が会いたくて会いたくて…会わずにいられなくて、敦賀さんが私を好きにならないように会おうとする自分勝手で我が儘な女なんです」
「それだけ俺が好きなんだよね?嬉しくてどうにかなりそうだ」
零れた涙を拭い、その唇にキスをして。
「俺とキョーコが初めて会ったのは、何時?」
「…夏の京都の河原で…私が六つの時でした…」
「ああ…本当ならあの時、会っていた筈なんだ」
触れる度に彼女の唇から零れる吐息が甘い。
「あまりにも綺麗で、妖精の王子様だと思い込んでいました…ん…名前も上手く聞き取れなくて、コーンだと、思い込んでて…別れる時魔法の石…貰って…ずっと…大切に…」
彼女が知らない、俺。
「次に会ったのは…東京で…16の春でした…最悪の出会いで、喧嘩ばかりで…でも、どんどん好きになって…」
「俺は何時からキョーコが好きだったんだろう?」
「教えてくれないんです…何時もはぐらかして…私が河原で会った"キョーコちゃん"なのは、直ぐ気付いたらしいんですけど…」
俺の知らない、彼女。
それは俺の知らない、俺だけが。
「……!敦賀さ…っ」
初めて彼女が好きになったのも
初めて彼女を抱いたのも
彼女の唇が愛しげに紡ぐ名前も
その気持ちも
全て
俺ではない俺の物で
「…俺はキョーコを置いていったりはしない」
なら俺は
俺の知らない俺が手にする事ができなかった未来を
今のキョーコが知らない未来を必ず手に入れる。



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  1. 2015/06/21(日) 14:33:43|
  2. 何度も恋をする
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何度も恋をする 6

スカートの裾を握り締めている手が、震えている。俺にはその姿が、手を延ばすのを必死で我慢しているように見えて。
「最初の世界で、私は敦賀さんと恋をして…結婚する筈だったんです」
「筈だった?」
「…その前に、敦賀さん亡くなったんです。私は20、敦賀さんは24でした」
「え…」
四年後に、俺が?
何時かは訪れる物だと分かってはいるけれど、そんなに早く…キョーコを置いて?
「屋外ロケの最中に、暴走した車が突っ込んで来て…動けないスタッフを助けようとして跳ねられたって、社さんが言っていました」
「社さんが?」
「私達のお兄さんみたいな存在で…私達の仲を随分心配して応援してくれて…やっと付き合い出して肩の荷が降りたと思ったら今度は私に会えないと機嫌が悪くなるから調整が大変で胃が痛いって何時も嘆いてて…社さんも辛いのに、自分から私に伝えるって言ったそうです」
「……………」
「泣いて泣いて、どうしたらこんな事にならないんだろうって、考えて考えて…ある日気が付いたら時間が巻き戻っていたんです」
「時間、が?そんな事がある訳が」
「私もびっくりしちゃいました。だって鏡を見たら若返っているんですよ?頬を何度もつねっちゃいました。そしたら敦賀さんが現れて、何してるのって笑って、私を抱き締めてくれて、その時分かったんです。これは神様がくれた、敦賀さんの未来を変えるチャンスだって。でもやっぱり敦賀さんは違う事故に遇って、私は何が悪かったのって泣いて…その度に時間は巻き戻って、繰り返している内に、自分でやり直したい時間に行けるようになって」
無理矢理笑おうとする顔を見たくなくて、胸に抱き寄せる。
「私、お姫様になりたかったのに…魔女になってしまいました」



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  1. 2015/06/20(土) 09:20:00|
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