六華(スキップビート二次小説)

スキビ小説が書きたくなって開きました。いつか雪のように無くなります

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Card of cups 17

中へ入ろうとした社の鼻先でドアを閉めると「直ぐ行きます」と声を掛けてリビングに戻りジャケットを手にする。
「あれ?今のチャイム、社さんですよね?」
「うん、急ぐから外で待つって」
キッチンから出てきたキョーコからお弁当を受けとると「ありがとう、いってきます」と風のような早さで玄関を出て、追い付けないキョーコの「いってらっしゃい」にドアの隙間から微笑みで応えた。


「キョーコちゃんに話があったのに!」
車に乗ってやっと言えた不満を無表情で聞いた蓮が社の手元を一瞥すると、漸く口を開く。
「……それ、新しい書類ですよね」
「そうだよ?急がせる気は無いけど他の人に決まったのもあるから定期的に渡さないと。キョーコちゃんがその気になった時に使えなかったら意味無いし…あ、お前から渡してくれる?」
「嫌です」
「え?」
「嫌です」
「……………」
「……………」
「嫌です」
「わ、分かったから…なんだよ、子どもみたいに。大体キョーコちゃんを部屋に入れたのは責任感とか同情からじゃ無かったのか?」
「……………………無かった、です」
小さな声で応えた蓮が、参ったとばかりに溜め息を付く。
「認めますよ、子どもみたいだって。感情に振り回されて周りも自分自身も全く見えてませんでした…本当に好きな相手にはなりふり構えないものだと初めて知りましたよ」
「お、やっと自覚したか。で…告白したのか?」
「昨夜気付いたばかりですよ?彼女は相変わらず俺を雇い主としか見てないし…散々醜態を見せてきた上に焦って嫌われるような事だけは避けたいんです」
「そんな事言ってる間にキョーコちゃん出ていっちゃうぞ?」
軽く口にした言葉に、蓮の表情に影が落ちる。
「だから…出ていけないようにしようかと」
「へ?」
「食器だけじゃなく、服とか…家具とか…荷物を増やせば、そう簡単には…」
「れ、蓮?」
「ああ…物を増やしても居心地悪ければ意味無いですよね…部屋に居る時間は最上さんの方が長いから、彼女に合わせてリフォームを…先ずはカーテンとラグを彼女好みにして…それに合わせてソファーも」
「ちょっと待て!今そんな事したらキョーコちゃん引くぞ!?」
「…………冗談ですよ」
じゃあその間は何だよ!?
突っ込みを入れようとした口を閉ざし、社は不安気に蓮を見る。
本当に子どもなら想像だけで済むが、目の前に居る男は経済力も行動力もある大人。今は嫌われたくないという気持ちがブレーキを掛けているが、それが外れてしまうような事態が起こったら…
「俺が原因で出ていくような事は絶対しません」
「なっ!?」
「何時までも閉じ込めておくつもりもありません。ただ…今の関係のまま離れてしまうのだけは避けたいんです。だから…暫くそっとしておいてくれませんか?」
暫くって、どの位?
きっちりと線を引いているキョーコが今の関係から一歩出るのにどれ位の時間がかかるのだろう?その前に部屋を出る決心をしたら?自覚した蓮の暴走をたった今見ただけに不安が増す。
「…欲しいと言われたら、直ぐ渡すからな」
オブラートに包んで刺した釘に蓮が真剣に頷いたのを確認して書類を鞄にしまう。
ブレーキになると思っていた自覚は思いの外弛いが、 "自分が原因で出ていくような事はしない"という言葉を信じるしかない。
……俺、マネージャー失格?
一つ屋根の下で好きな女の子と二人きりでとか、もし気持ちがまだ不破にあって蓮がそれを知ったならとか。考えれば考える程、担当俳優に対して不安しか覚えない自分に落ち込んだ。









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テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/09/24(土) 11:59:03|
  2. Card of cups
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きらきらひかる 27

食事に誘っても何処が良いかなんて分からない俺の相談相手は、一人しかいない。
気恥ずかしさを堪えて聞いた俺に社さんは目を見張った後、嬉しそうに笑った。
「任せておけ。女の子なら絶対喜ぶ店を予約しておくよ…ああでも、保津周平の姿で入れない店は駄目だな」
「…いえ」
不安が無いといえば嘘になる。
でも俺の全てを受けとめて、慣れない"本当の名前"を必死に呼ぼうとする彼女に甘えたままでいるのは酷く格好悪いと思った。

だから

「敦賀蓮で行きますから、大丈夫です」


俺は
最上さんの気持ちに応えたいと



涙で潤んだ瞳はねっとりとした熱を含んで
紅い唇が媚びるように歪む
自分が女である事を見せ付ける
大きく開いた胸元
吐き気がする程の嫌悪感
瞬きさえ許されない張り詰めた空気
何かが起こりそうな予感に
身体が冷えていくのが分かる

…違う

この後
何が起きたか
俺は知っている

…何が起きた?


ヒールの耳障りな音に
思考が遮断され

恐怖に支配されて

逃げなければ

そう思うのに身体が動かない
動かせない

そう

敦賀蓮は

動く事も

考える事も

許されない

誰かの気持ちに応える事も

だから

俺は



『ちゃんと考えて行動しないと本当に段ボールの家になっちゃいますよ?』
「敦賀さん!」
呼ぶ声と共に急激に広がる視界
遠ざかる女
流れる世界の中、俺の手を引いていたのは
 どんな姿をしていても
 俺を見つけ、笑う
 あやふやでも俺には変わり無いと
 俺が全て忘れてしまっても
 私が教えてあげると
 俺の側にずっといると
『誰よりも好きで誰よりも一緒にいたい人』
 そう言ってくれた
 そう思った、唯一の彼女
俺の、恋人
「も、がみ…さん」
「海の代わりに何処か連れていって下さい!うんと遠くがいいです!」
俺の腕を引きエレベーターへと向かいながら必死に喋り続ける声が震えている。
「最上さん」
「いっぱい、いっぱい楽しい事しましょう!」
だから、私を忘れないで
明るく、優しく俺の未来を縛ろうとする約束がそう聞こえて
乗り込んだエレベーターのドアが閉まると同時に抱き締めた。
「うん、紅葉も、雪も、桜も一緒に見よう。最上さんの行きたい場所に一緒に行こう。毎年新しい年を一緒に迎えて、誕生日にはローソクを一本ずつ増やそう」
「…私のだけじゃ駄目です…敦賀さんの行きたい場所にも連れて行って下さい」
「俺の?」
「敦賀さんが行きたい場所に連れて行って下さい。見たい景色を、私も見たいんです…だから」
「約束する…必ず守るから」
「絶対、ですよっ」
離さないとばかりに俺の背中に手を回し、強く抱き締め返してくれる恋人が愛おしい。
「うん、絶対」
軽い振動と共にエレベーターが止まり動いていた事に気が付いた途端、最上さんが腕の中から飛び退き見る間に真っ赤になって慌てて乗り込んで来た人に背を向ける。
露になった項から背中まで赤く染まっていて、その艶やかさから目が離せない。
「わたっ、いま、公共の場で何を、おまけに大声で名前を呼んで」
「…うん」
保津周平で呼ばれたら、きっともう二度と敦賀蓮で…本当の自分でいられなかった。
「呼ばなければ別人で通せたのにっ、私困らせただけでっ」
「うん…ありがとう」
「もう、何がどう"ありがとう"なんですか!?」
俺を真っ直ぐに見上げた、恥ずかしさから潤む瞳
何時も明るい方向へと導いてくれる言葉を紡ぐ、淡く色付く唇…
「…………………!」
甘く柔らかな感触に我慢出来ずに二度、三度。
同乗者に視線を向ければ、此方に背を向けている。
「大丈夫、見ていないから」
呆然とする最上さんの手を握り前を見れば、ガラス越しの、闇に沈もうとする世界に溶けそうな自分の姿。

あの女に怯え続け
最上さんを不安にさせる
俺が望んだ"これから"は、そんな物じゃない
…強い心が欲しい
最上さんと一緒に居るために、もっと確かな世界を手に入れるために
あの女が現れても、全てを思い出しても揺るがない強い心が

俺は
何時までも保津周平の影に隠れていてはいけないんだ







テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/07/24(日) 22:50:57|
  2. きらきらひかる
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きらきらひかる 26

大学で会った、話すのを憚るような内容を何でも知っているとばかりに自慢気に、そして嬉しげに話すあの人のぎらついた目が浮かぶ。
確かに側に居たいとは思う。
何があったか知りたくないと言えば嘘になる。
でも
"愛しているなら分かるよね?"
だからと全て許されるとは思わない。
そう
愛しているからなんて理由で痛みさえ忘れてしまう程の傷に触れてはいけない
なのに
敦賀さんの言う"あの女"は何時までも影のように付きまとい、抉ろうとする。
痛みを与える事で自分の存在を忘れさせまいと
何時までも自分に縛り付けようと
そして
全てを奪って、自分だけの"敦賀蓮"にしようとしている
「海の代わりに何処か連れていって下さい!うんと遠くがいいです!ええと、そう京都!京都がいいです!秋になったら紅葉を見に行きましょう!冬になったら長野にスキーしに行きたいです!ああ、北海道の雪まつりもいいですね!春になったら桜!お花見しましょう!モー子さんや敦賀さんのマネージャーさんを誘って、みんなでどんちゃん騒ぎしましょう!そして夏になったら海に連れていって下さい!」
楽しい事を沢山して、あの人が誰か、何があったか考える暇なんて無い位未来の事で、約束で一杯にして

私ではなく、その人を忘れてしまえばいい

ただそれだけを考えていた
「いっぱい、いっぱい楽しい事しましょう!お正月にバレンタインに雛祭り、こどもの日もクリスマスも年越しもみんなでしましょう!」
少しでもその人から離れたくて
その人から敦賀さんを離したくて
固まったままの敦賀さんをエレベーターへ強引に連れていき開いたドアの向こうへ押し込んだ。
「あ、クリスマスは私の誕生日なんですよ!敦賀さんの誕生日は何時ですか!?私ケーキ焼きます!料理はちょっと得意なんです!チョコレートでも抹茶でも生クリームでも、敦賀さんの食べたいケーキを作りますよ!年の数だけロウソク立てて、みんなでお祝いしましょう!約束ですよ!?全部、敦賀さんが居ないと駄目なんです!覚えてて下さいよ!?」
まだ足りない。
もっと、もっと沢山
そう思うのに思い付かなくて言葉が切れてしまったその瞬間。

敦賀さんに抱き締められた。



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  1. 2016/06/26(日) 12:04:25|
  2. きらきらひかる
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フェアリーテイル 10


"あいつ"とはどういう関係?

わざわざ聞かなくても、女を名前で呼ぶ男とそれを当然と受け止める女の関係なんて想像が着く。そして、キョーコの様子から何があったかも。
…多分、"あいつ"はキョーコを痛い目に合わせた相手。しかし本人にその自覚が無くて…だから声を掛ける事も、触れる為に近付く事も出来たのだろう。
…それが何時の事かは分からないけれど
『…………そうか…』
先に背を向けて歩き出したキョーコには届かなかった呟き。安心したような声音に少し振り返り見たのは、何処か嬉しそうな表情。
…"あいつ"はまだ、彼女を心配している…
「蓮、キョーコちゃん。帰るから挨拶に来たって」
社の声に持っていたペットボトルからドアへと視線を移すと、控え室のドアからキョーコが顔を覗かせている。
「今日はありがとうございました。お先に失礼します」
「…もう遅い時間だし、一人で帰るなら此所で待ってて。俺も後一時間位で終わるから送っていくよ」
「お気遣いありがとうございます。でも今日はできるだけ早く帰りたいので」
「じゃあタクシーを使いなさい」
「え?でもまだ電車が動いている時間ですから」
「社さん、最上さん一人だと歩いて帰りかねないので乗るまで付いていて下さい」
「そんな事しません!早く帰りたいって言ったじゃないですか!」
「え~と…キョーコちゃん、歩いて帰るはともかく、蓮の言う事は間違って無いから…先輩の言うこととして聞いた方がいいんじゃないかな?」
関係無いって言ったのに!
そう顔に書いたキョーコが社と歩いて行くのを見送って、控え室のドアを閉める。
…俺には、関係の無い話だ。
17才の女の子なら恋もするし、その相手にどんな仕事をするか、したかを"あいつ"に話していても何もおかしくない。
別れた原因も、キョーコからしたら触れられたく無いだろうし自分も知ろうとは思わない。
なのに二人きりになると口にしそうで…
……だから、聞く事なんて何も
「キョーコちゃん今日"は"って言ってたけど…何かあったのか?」
戻った時、蓮が既に仕事に入っていた事もあり、ずっと黙っていた社が車に乗り二人きりになった途端"待ってました"とばかり口を開く。
「別に何も」
「無いわけ無いだろう。誰に対しても何時も"お疲れさま"で終わるお前が終わらなかったんだから」
「…彼女、思い込んだら周りが見えなくなるので」
「ああ…蓮に謝りたい一心で、場所も知らない社長室へ駆けてったな」
「テレビ局で会った時、考え事をしていてドアにぶつかりそうになるし」
「だから今日"は"なんだ」
「月…が綺麗だったからと、夜中に外で街灯の光も届かない暗闇に一人で立っていた事もありました」
「えっ!危ないなぁ!」
「女の子という自覚があまり無いみたいで…心配する位なら先手を打った方がいいかと」
「確かに…俺も気を付けておくよ」
「お願いします」
「まぁでも、お前の心配が全然届いて無い訳じゃないと思うよ?」
"秘密"を伏せた蓮の話に納得した社が笑う。
「外に出たら月が出てて。凄く嬉しそうに見た後、俺を見て蓮を思い出したらしくてはっとしてた。一人だったら本当に月を見ながら歩いて行きそうな感じだったな」
それは多分、心配を掛けてはいけないとかではなく
降り注ぐ月光に我を忘れて
魔法が早く解けそうだと言おうとして
隣にいるのが自分ではなく社だという事に気付いただけで
「…だといいんですが」
社に彼…コーンの話をしなかった
その事にふと心が軽くなって、気付く。
分かりきった話の先…知りたかった事。
"あいつに話をしたのか?"
駆け寄って、笑顔を向けて
時には真剣に、耳許に口を寄せて声を潜めて
眼を輝かせ空を見上げてお伽話を、二人だけの秘密の話を…"何時かきっと"と未来の夢を
…自分と彼のように、キョーコも"あいつ"と夢を語っただけ。
ただそれだけの事が何故、こんなに気になるのだろう?




テーマ:二次創作小説 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2016/05/30(月) 21:25:39|
  2. フェアリーテイル
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フェアリーテイル 9

テレビ局の廊下を歩きながらキョーコは腕時計で時間を確認する。
…だいぶ早いけど…このままドラマの収録をしているスタジオに行こう。
明日の学校の授業が気になるが、勉強は帰ってからした方が落ち着いて出来る。
撮り直しは蓮の言葉通り急ピッチで進められていて眼が回る忙しさだが、成績が落ちれば何を言われるか分かっているだけに、疲れたからと帰って直ぐ横になるわけにはいかない 。
きっと今だけだから…頑張れば直ぐ終わるから
腕時計から視線を移したバックには小さながま口に入れたコーンが入っている。そう、今頑張って撮り直しを早く終わらせる事が出来たら、悪い魔法使いを探す時間を作る事も、魔法を解く方法を考える余裕も出来る…
「おい」
聞き覚えの有りすぎる声に一瞬止まりそうになった足を"私じゃない"と否定して早めたキョーコの後ろを、その声は着いてくる。
「メシ食いに行くぞ」
「どーせヒマなんだろう」
「おい」
「無視すんな」
「先輩だぞ?礼儀ってモンを知らねぇのか」
「ああ、声も出せねぇ卵も産めそうにねぇニワトリはツラだけじゃなく中身もバカなのか」
「呆けたふりをしているだけです!それに男の子だから卵は産まないわよ!」
"もう一つ仕事"である着ぐるみをバカにされ思わず振り返ったキョーコに声の主…もう幼なじみとして過ごした時間さえ捨てたい元恋人の不破尚…松太郎がにやりと笑う。
別れた時も、こんな馬鹿にした笑いをしてた。
『お前みたいなガキ過ぎる女、恋人だと思えねーよ』
「へー、そうか。だから中身と一緒で色気も何もねぇのか」
『ちったぁ大人になったかと期待してたのにガッカリだ』
『見掛けだけじゃなく頭ん中までガキのまんまで色気も何もねぇのに恋人どころか女としても見れる訳ねぇだろ』
「あのキャラクターで色気を求める方が間違っているわよ!あんた、わざわざ嫌味言いに来たの!?」
「ちげーよ。たまたまヒマになった短い貴重な時間をオマエの為に使ってやろうと声掛けたんだぞ?感謝しろよ」
「充分!しっかり!たっぷり暇に見えるわよ!いい!?もう、あんたの暇潰しに付き合うような関係では無いし、嫌味を言われる筋合いも無いの!金・輪・際!声を掛けないで!」
「ウルセェよ!あーだこーだ言ってねぇで黙って着いて来い!」
「人の話を聞いてる!?」
掴まれそうになって大きく腕を身体ごと退けた途端、庇うように前に立った人影に眼を見張った。
「敦賀さん!」
「揉めてたみたいだけど…大丈夫?彼は最上さんの知り合い?」
声は穏やかだが、松太郎を見る蓮の視線は鋭い。
「全然全く何の関係ない人です!」
「…そう…?」
「邪魔すんな!お前は関係ねぇだろ!おいキョーコ、話はまだ終わってないぞ!こっち来い!」
「敦賀さん行きましょう!人の話を聞かないあいつに付き合ってたら切りが無いです!」
芸能界のトップを行く敦賀蓮が何故新人とさえ言えないキョーコと親しげなんだという疑問よりも、その仲間入りを果たした自分を蓮が知らない事に苛立って声を荒げた松太郎に、蓮が眉を潜める。
「…そうだね。行こうか」
「人の話聞かねーのはどっちだ!待てって言ってるだろーが!」
「悪いけど、俺達は今から仕事があるんだ」
「仕事?は、どうせこいつは名前もセリフもねーちょろっと出るだけ端役だろ?ニンキハイユウのツルガサンと違って急いで行く事ねーだろ」
「失礼ね!名前もセリフもちゃんとあります!出番だって今までよりずっと多いわよ!」
食事なんて松太郎のデビュー当時から付いている、美人でスタイルが良くて大人な自慢の女性マネージャーと行けばいいのに!
その人と何時も、何時も比較されてきた。今だってきっと暇潰しに比較して子どもだと笑いの種にしたかっただけに違いない…
「いけない!」
バチンと思い切り両頬を叩いて自分を叱咤する。
子どもの夢物語だと笑われて、馬鹿にされて、呆れられて一人きりになっても自分を信じようと決めたじゃない!
バチバチ叩き続ける手を横からそっと触れられて、はっとして顔を上げると蓮の心配そうな視線とぶつかる。
「頬が赤くなってるよ?」
やだ、私ったら!
「す、すみません!お礼も言わず…ありがとうございました !」
「困っている女の子を助けるのは男として当然だろう?仲間なら尚更、ね」
蓮の言葉に、目の前が明るくなったように感じた。
仲間
そう、今は、私一人じゃない
「私今怒りに囚われて…清らかな心でないと魔法は解けないのに…悪い魔法使いが仕掛けた罠に落ちるところでした」
「彼…コーンは助けられないけど、最上さんの助けにはなれそうだ」
蓮がずらした身体の直ぐ後ろにあるドアを開けて、感情に任せて歩き続けて出入口のドアが目前に迫っていた事にキョーコはやっと気付いた。
「何処かに激突するのを防ぐ程度には、ね…どうぞ?」
「先輩にドアを開けさせるなんて!私ったら何て畏れ多い事を…!」
「これも男として当然の事だよ」
「っ…男とか女の子とか、関係無いでしょう!?」
思わず頬を膨らませたキョーコに「ああ」と蓮が笑う。
「じゃあ先輩も後輩も関係無いよね」
「いえ、それは関係あるかと」
「先輩の言うことは聞くべきだよ?」
「関係あるじゃないですか!」
怒ったふりをして蓮の前を通り過ぎる時、蓮の忍び笑いが聞こえて、赤く染まったままの頬を再び膨らませた。








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  1. 2016/05/10(火) 20:26:57|
  2. フェアリーテイル
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